Symphony8【病系】【短編集】

105_ちっぽけep.5-1［赤×橙］ ページ33

だいぶ前から続いているシリーズ第2弾のep.ファイナルです．
初めての方はコチラのちっぽけep.1からご覧下さい👀

▶︎余命宣告
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黄side








小児科の診察室のすぐ近く

みんなが待てるようにベンチが並んでいる

そのベンチは外側を向いていて、目の前には空まで見える大きな大きな窓


そこから見える景色は、森の緑と空の青

夜は綺麗な星空




ここに暮らす僕たちはその光景に見慣れたからか、滅多に足を止めることは無いが今日ばかりはそこに向かって軽い足取りで歩く


夏の終わりに開かれるこの街の大イベント 花火大会

それに合わせてこの小児科で昼間に行われた縁日でゲットした水風船とお面を持って行った





4人でベンチに座って、上を見上げる

真っ暗な空に花が咲くのを今か今かと待ち望む


みんなワクワク うずうず しながら無言で空を見上げているこの時間は結構すき






((ひゅ〜ぅ


「 ぁ！きた！ 」



室内にいるのに聞こえてくる花火の破裂音

ばんっという音と共に空のキャンパスにキラキラした大輪の花が咲いた




「 うぉー！きれー！ 」

無邪気にニコニコしながら花火を見ている莉犬


「 うぉ、すげ 」

破裂音に少しびびりながらも、凄いと漏らすさとみくん


「 うあ〜 」

あまりの迫力に空いた口が塞がらないころちゃん



僕はこの3人と見る花火が好きだ






「 …来年も、そのまた次の年も、じいちゃんになっても…俺はみんなとこの花火みたい 」


他の誰でもないあのさとみくんが放ったその言葉をゆっくりと噛み締める

うん。と力強く頷けば、そんな僕たちを応援するかのように飛びっきりの大きな花火が花開いた







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