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「 ねぇ、るぅとくんみた? 」
「 いや、今日は見てないっすね 」
事務作業をしていると、少し焦った様子の医師が聞いてきた
「 おけ、ありがと 」
小走りですぐにどこかに行ってしまったその人
少し気になって事務作業終わりにすぐにるぅとの病室に行ってみたが、るぅとのベッドは空だった
「 ねぇ、るぅとくんどこにいるか知ってる? 」
同じ病室の子に聞くけど全員が首を横に振った
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「 るぅと 」
「 ぁ、お兄ちゃん 」
寒空の下、彼は小児科を飛び出し大きな窓を向いたソファーに座り何やら上を見上げていた
「 何見てたの? 」
彼の隣に座って同じ方を見上げてみる
彼の小さい指はまだお昼の空な浮かぶ薄い月を指した
「 お月様はひとつだけ? 」
「 ひとつだけだよ 」
「 僕のお家からもここからも見えるの。お月様は僕のパパとか弟とかも毎日見てるってことだよね 」
「 そうだね 」
子供の想像力って凄いというか、面白くて温かいなと思った
るぅとの抱えている寂しい気持ちだったり、不安な気持ちを感じて俺はなんて声をかければいいか迷ってた
「 それは、携帯? 」
彼が左手に持っている黄色いモノを指して聞く
「 うん。ママがね、これなら声聞けるよって。お電話していいよって。けど、さっき出なかったの…ママ忙しいから 」
「 そっか。電話するためにここまで来たんだね 」
「 、うん。あのマークあるところ電話できるって先生が言ってたから 」
確かにここには電話OKの張り紙が貼ってある
「 ふふっ、るぅとそれ貸してみ 」
俺はるぅとから預かった携帯に自分の番号を登録した
「 それ俺の電話番号。かけてみて 」
るぅとからの着信の入った自分のスマホを彼に見せる
「 もしもし、 」
「 お兄ちゃん? 」
「 うん。寂しくなったら、俺にもかけていいからね 」
「 うん! 」
嬉しそうに笑ったその笑顔を俺は忘れられない
その後彼と手を繋いで病室まで戻った
先輩医師に「見つけたら即報告だろ!」「彼の病状分かってんだよな」って怒られたけどそんなの彼の笑顔で帳消しみたいなもんだね
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リーベ - 夢代行サービス、とっても良かったです…!死ネタは苦手なのですがこちらのお話は最後まで泣きじゃくりながら読めました(ノД`)・゜・。素敵なお話ありがとうございました。 (8月20日 3時) (レス) id: 09300b9193 (このIDを非表示/違反報告)
はゆの(プロフ) - らふのすけさん» 了解しました! (2023年2月14日 13時) (レス) id: b5eb2ea323 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - すなねこさん» 兄弟パロ!ありがとうございます🙌かしこまりました! (2023年2月14日 9時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - はゆのさん» ありがとうございます🙇♀️予定ですが、46話での公開になると思います! (2023年2月14日 9時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
すなねこ - かいてくださりありがとうございます!!めちゃ刺さりました、、。リクエスト失礼します!兄弟パロで桃くんいじめでおねがいします!!看病は赤くん中心で、できれば青くんが体弱くてみんな桃くんに気付けないシチュお願いします! (2023年2月11日 22時) (レス) id: 9b8c3c3801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らふのすけ | 作成日時:2023年1月8日 2時