Symphony３【病系】【短編集】

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黄side








お兄ちゃんは他のお医者さんたちとはちょっと違う


僕にはまだよく分からないけど大学生って言ってた


優しくて、面白くて、大好きなお兄ちゃん





僕がおなかいたいいたいの時は、優しく摩ってくれたり、他の先生のお手伝いをしたり


僕がげぇしちゃった時も大丈夫って言ってくれた



お兄ちゃんの手はいつもあったかくて、すごく好き


声も優しくてかっこよくて、すごく好き





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ママが「今週はもう来れない」って言ってた


今週ってことはあと3日来れないんだって



お兄ちゃんにそれ言ったら電話いつでもかけていいからねって言ってくれた




昨日は夜、僕が寝るまでお兄ちゃんが居てくれた




でも今日は居なくて、寂しくて電話かけちゃった



夜はここから出たらすごく怒られちゃうから、自分のベッドから見えるお月様を見ながら







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桃side







今日は忙しくてるぅとの元に行けなかったなと、帰り道気にかかりながら歩いていると、ちょうど彼から電話が来た

時間的にもう寝ているはずだけど眠れないのかな



「 もしもし、るぅと？ 」

［ お兄ちゃん…、 ］

いつもよりも寂しそうなその声に俺は踵を返した


「 寝れないの？ 」

［お兄ちゃん、今どこにいるの？ ］

「 今ね病院のお外歩いてるよ 」

［ お月様見える？ ］

「 見えるよ 」

この前るぅと見た時よりもまん丸で大きなお月様を見上げる



［ 僕、お月様になりたいな…そしたらいつもみんなと会えるんでしょ？ ］

「 お月様じゃなくてもみんなに会えるよ。…ねぇるぅと今病室？ 」

［ うん…電話ダメ？ ］

「 ダメじゃないよ。窓から下見て見て 」


何個も上の窓から小さな頭がひょこっと見えた

俺はその頭に大きく手を振る




［ お兄ちゃん！ ］

「 ほら会えたでしょ 」

［ うん、会えた ］


ブンブンと大きく手を振ってくれるのが月の光で見える

俺もそれに合わせてなるべく大きく彼に手を振った




［ お兄ちゃんはこれからお医者さんになるの？ ］

「 うん 」

［ じゃあ僕、お兄ちゃんに直してもらいたい ］

「 …頑張るね 」


ずっと何科にしようか決めかねてたんだけど、今決まったな




［ じゃあ約束 ］

窓から小さな手が見えて小指を立てているから、俺もそれに合わせて小指を立てる


「 約束 」


キミみたいな頑張っている子供を俺は助けたい





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月夜に照らされて−fin.


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