Symphony３【病系】【短編集】

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桃side









ライブで肌の露出も増えるから、傷を増やすことは出来ないと判断して俺の寝る前の習慣は少し変化していた

寝室に置いてある薬を手に乗せられるだけ出してそれを胃に流し込む


最初は眠りにつくために適量飲んでいたのがだんだんと適量じゃ効果が感じられなくなってきて、今はもうたった数日で1瓶が空いてしまう



今日も薬を飲んでからベッドに入った

でもなかなか眠りに付けなくて、ふと携帯を開くとジェルが配信をやっていた

画面をタップすると彼の声が心地よく耳に馴染んでいく

話題はライブリハーサルの進捗と最近のメンバーとの絡みとかのことだ



［莉犬はねころんにもっと丸くなって欲しいみたいやねｗ］


なんて、確かにそんなことばっか最近言ってるなって思わず笑みがこぼれる

家に帰ったら さとみ の着ぐるみは脱いでいるはずなんだけど、やっぱり頭に浮かぶのはすとぷりのことだったりメンバーのことばかりなんだよな




［さとちゃんはね、ホンマにストイックね。この前もリハ終わりにジム行くとか言ってて。俺なら絶対無理。マジですごい］

「 …マジですごい、か…… 」


ジェルの裏表のない真っ直ぐな言葉や褒められているその気持ちが痛い

本当は身体が辛すぎて早く家に帰りたかっただけ


ずーんと闇の中にただただ沈んでいくようなこの暗い感情が何故かメンバーといる時にも湧いてきてしまって、俺は怖くなって逃げたんだ

薬に頼って意識飛ばして、その気持ちを少しでもリセットしたいって



「 …情けないよな、、ごめん… 」


俺ひとりきりの部屋に震えたそんな声が響く

そして、誰に聞こえる訳もなく消える




ジェルの配信を聞きながら、あまりにメンバーを褒めたり、すとぷりを褒めたりしているから今の自分が情けなくてダサくて…

俺は、そんな背徳感に苛まれながら枕をべちょべちょに濡らした


その後ジェルの配信が終わりそうな頃、急に電池が切れたようにぷつっと意識は途切れた




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