. ページ11
.
橙side
俺の治療が始まった
点滴を刺され、動き回れない日々。急にやってくる吐き気と全身の倦怠感、食欲不振…
何も楽しくない。いや、前からも別に楽しくなんかなかったけど
「 ジェルくん？ 」
「 ん、あぁ、莉犬 」
俺の閉め切ったカーテンからひょこっと心配そうな顔が覗く
「 これ、辛い時はねこの匂い嗅いでると少し和らぐよ 」
そう言って差し出してくれたのはレモン
「 レモン？ 」
「 うん、俺もこれで何回も辛いの乗り越えてきたから。ジェルくんも大丈夫だよ 」
莉犬からレモンを受け取り香ってみる
確かに、爽やかな香りが嫌な気分を少しだけ軽くしてくれる気がした
「 ありがと、大事に使うわ 」
「 うん 」
莉犬は俺のベット横の椅子に座って動こうとしない
「 どしたん？ 」
「 いや、別に。俺がここにいたいだけ 」
「 ふはっもしかして、心配してくれてる？ 」
「 そ、そんな事ねーし 」
「 そ。…俺さ、まだ家族に病気のこと言えてへんくて。そもそも家族みんな大阪に居るから会う機会もないし。
だから、入院してても誰も見舞いになんか来ないねんな 」
「 、俺だって見舞いになんて誰も来ないよ。けど別にそれが生きてちゃいけない訳じゃないからね 」
そう言われて、内心ドキッとした自分がいた
こんな治療したって…ってもう俺の人生終わりか…なんて諦めてたような自分がいたから
.
「 …俺さ、ずっと誰かに認められたくて色んなこと頑張ってきたんや。だからこんな所で立ち止まってちゃいけないんや… 」
「 、へぇ、偉いね 」
「 今すぐここ退院してやる 」
「 ふはっ、いい意気込みじゃん。けど、俺はそうは思わないかな 」
スパッと言い張った莉犬の目を見る
莉犬は凄く優しい目をしていた
「 少しぐらい休んでいいんじゃないの？みんな急ぎすぎなんだって、人生長いよ？w 」
「 …俺は多分もう長くないし 」
「 、まだわかんないじゃん！ 」
突然大きな声を出した莉犬に驚いて彼に目線を向けると彼は目にいっぱいの涙をためていた
「 え、ごめんごめん。莉犬？ 」
彼の腕を掴む
いつもダボッとした服装をしていたから気づかなかったが、驚く程細いその腕にゾッとした
「 …、それぐらいの病気で人生諦めるなんてジェルくんは自分で思っているより人生に未練ないんだよ 」
莉犬は涙を脱ぐって自分のベッドに戻って行ってしまった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らふのすけ(プロフ) - しゅあ。さん» アルメリアって題名の意味もあるから調べてみてw 桃さんからの皮肉です😓 (2022年12月7日 1時) (
レス) @page39 id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅあ。(プロフ) - なんかゾクってするこの話。 (2022年12月6日 2時) (レス) @page40 id: 1a1d4d0288 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - 1000さん» えぇぇぇ！1000さん！！お久しぶりです(〃▽〃) ほんとですか！？めちゃ嬉しいです💪🏻めちゃ活力湧きましたわ🧡 (2022年12月6日 1時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
1000(プロフ) - 実はめっっっちゃ読んでます。素敵だし繊細で、らふさんって感じで大好きです😌 (2022年12月6日 1時) (レス) @page36 id: c9c3bdbfa2 (このIDを非表示/違反報告)
らふのすけ(プロフ) - しゅあ。さん» しゅあちゃんいつもありがとぉぉぉ(｣^o^)｣ (2022年11月30日 21時) (レス) id: 75a74ec2d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らふのすけ | 作成日時：2022年11月13日 0時
