Symphony【病系】【短編集】

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水side








「 ジェルくん…なんかおかしくない？ 」

「 じぇる？なにが 」


ダンスリハ中、隣で汗を拭きながら水分を摂るさとみくんと話す






みんな暑いと、半袖になったり袖を捲ったりしているのにジェルくんだけずっとロンTの袖を大事そうに伸ばしている



「 暑くないのかな 」

「 無いんじゃね？しらん 」


さとみくんはもう、自分のことに一点集中のストイックモード入っちゃってるから僕のこんな話なんか軽く流して鏡の前に向かっていってしまった


でも僕はなんか嫌な胸のざわざわがして、ジェルくんの元に向かった





「 ジェルくんここの振りってさ〜 」

「 あぁ、ここはこう…らしいで、 」

「 お！なるほど！ありがと、 」


振りの確認のフリして近づいて、今だと思って聞いてみる




「 てかジェルくん暑くないの？ 」

「 別に丁度ええけどなぁ、むしろこの時期に半袖短パンのさとみの方が寒ないのかなって見てたわw 」


僕の心配なんて他所に普通に見えるジェルくん






「 合わせて踊ってみようよ、 」

「 あ〜、うん。もうちょい休憩するわw 」

「 ん？そう？ 」


ジェルくんはいつもこの提案を断ることないのに…



「 、なんかジェルくん顔色悪くない？ 」


今日の僕はなんだかジェルくんに過保護かもしれない

気になって仕方なくて、じっとジェルくんの顔を見つめる



「 ぇ、？w いやいつも通りやってw 」

「 ちょっと、こっち……、っ、？ 」


おもむろに左手首を掴んだ時、ロンＴの素材とは別のザラっと硬い触感が手に伝わった

不思議に思って彼を見ると、さっきまでの笑顔が消え右手で僕の手首をぎゅっと掴まれる




「 …あんま、大事にせんで？ 」

焦った様子でそう言われたから、ここでは話せないか。と、2人でリハ室を出た





＿





人気のない場所に彼を連れてきて、ゆっくりと袖を捲る

捲った袖の下には、手首にがっちりと巻かれた包帯に少しの血が滲んでいた




「 ジェルくん… 」

「 、俺おかしいねん…最近……、 」


ジェルくんは力なくその場にしゃがみこんでしまった




「 …これせえへんと、落ち着かんくて…頭おかしくなってまいそうやねん……、 」

「 、頑張ってくれてありがとう 」



僕のかける言葉がこれで正しいなんて分からないけど


ずっと隠して我慢してたんだよね



僕がさどうにかしてあげるからもう出てきていいよ


その隠れてた気持ち僕が絶対に見つけるから





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かくれんぼ−fin.


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