隣の席のあいつ【桃】

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あれ、やばい…教科書忘れた……



英語の授業が始まってすぐ気がついて心臓がキュッとする







英語の先生、忘れ物チェックするんだよなぁ…


いつもは置き勉なんだけどテストが近かったから持って帰ったんだった










「 はーい、じゃあ今日忘れ物した人はちゃんと言ってな〜。隠して後でバレた方が減点だからな 」



なんて言いながら先生は教室内を歩き出した

一歩、また一歩と先生が私の席に近づいてくる




胸がドキドキと鳴っている

あんまり忘れ物とかするタイプじゃないし、目立つタイプじゃないからこういうイレギュラーが起きた時って凄くテンパっちゃうんだよな…



これはもう堪忍して、忘れましたって謝るしかないか…と立ち上がろうとすると隣の席のさとみくんがバッと立ち上がった






『 せんせー、教科書忘れたわ俺 』


立ち上がったとほぼ同時に自分の教科書を私の机の上に置いて彼は言った






「 はい、桃瀬ね。OK。ちゃんとチェックつけといたから
次回からは忘れないように 」

『 はーい、すんません 』



なんて、こんな減点へっちゃらと言わんばかりに余裕そうにまた席につく




そのままわたしの机に自分の机を寄せて「みーせーて」と笑った







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「 、なんで？ 」

『 弁当のお礼？ 』



なんて、ペンを回しながら私の顔も見ずにサラッと言う





「 いいのに。それに、減点食らうじゃん 」

『 テストで点とりゃいい話でしょ？ 』



あぁ、そうだ。この人勉強も出来たんだった





「 なんかムカつく 」

『 はw なんでだよ、意味わかんね 』

「 ハイスペックムカつく！ 」

『 お褒め頂き光栄です 』


なんて、私にぺこりと頭を下げたからペシッとペンで頭を叩いてやった





『 いてっ！ 』


「 おい、桃瀬！うるさい！減点するぞ 」

『 ごめんなさーい、！ 』




痛がる声いつも大きすぎだよ

それに、大袈裟すぎ。絶対そんな声出すほど痛くないくせに






『 お前すぐ人のこと叩くのやめな？暴力反対〜 』

「 さとみくんにしかやらないし、 」

『 なんだそれw 』



2人で声を殺して笑う

何が面白いのかは分からない、けど笑いが零れちゃうんだ






「 …ありがとね 」

『 おう、 』



私は貴方の優しさにきっと何度もお世話になっているよね





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