ほっとらて【短編集】

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彼とのL○NEトークは続いていた

彼のオススメだというアニメを見て、その感想をる。まだ、既読はつかない




買い物を頼まれて少し街から離れた繁華街に出たある日






そこで見た。私服姿で繁華街を歩く彼の姿を

その横には、綺麗な女性がいて手を繋いでいた



本当に綺麗な女性

どこかで見たことがある…


あっ、学年で1番の美女と噂されている方だ




誰もが羨む美男美女カップル


明らかに彼に“似合う”女性






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彼は私に気づいていない


私は自分の予定などすっかり忘れて彼の後を追った




ストーカー行為だとか、そんなの考えている暇はなかった






彼は、すごく楽しそうだった



カフェで2つのコーヒーを買って席で待っている女性に渡したり

女性が買った荷物を持ってあげたり、

自然に車道側を歩く彼女と場所を代わったり…



あぁ、完全に隣にいる女性はさとみくんの彼女さんなんだと





勝手に追っているのは私なのだけれど、見せつけられているようで胸が苦しい




あぁ、私ってさとみくんに “恋” してたんだ…






人を好きになるとか、そんなの初めてで、


あぁ、初恋ってやつか。






初恋はレモンのように甘酸っぱいとか誰が言った？



甘くも、酸っぱくもないよ






ただ胸が痛くて、苦しいんだ







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彼らが、ご飯屋さんに入ったところで私は足を止め来た道を戻る



苦しい、苦しい、嫌だ、嫌だ…





彼との出会いは幻だったの？


彼との会話は、私のこの気持ちは、夢だったの？




違う。全て現実だ


彼のおかげか私へのいじめは無くなったし、私は学校がほんの少しだけ好きになったし…


私は生まれて初めて恋をした




けど、さとみくんには彼女がいて

それはもちろん私じゃなくて…私のこの思いは儚く散った



それ事実









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「 …さとみくん＿＿＿＿ 」



彼のトーク画面、未だにつかない既読

そりゃあそうだ



アニメの感想を送った文章を長押しして、送信取り消しを押す





私と、彼


彼は私のことどうとも思っていないだろうけど、私はこの気持ちのまま貴方と会話を続けるのは難しいから


だからもう、やめよう


前の関係に戻ろう




って、別に関係値はそんなに変わってないよね


私が勝手に舞い上がっていただけだもんね






自分勝手で、臆病で、ごめんなさい



この溢れ出てくる涙の正体は、なに＿＿＿＿＿？





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アンズ【桃】−fin.


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