ほっとらて【短編集】

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さとみくん。同じクラスの生徒

容姿端麗。才色兼備


同じ時期に同じ地域で生まれ育って来たはずなのに、どうしてこんなにも違う人間なんだろう。と、自分が醜く思えてしまうほど私とは違う

まるで、“雲の上の存在”






『 またなんかされたら言えよ。もう知っちゃったんだから無視はできない 』


彼から借りたジャージに身を包んで、一緒に歩く通学路

ジャージなんて借りたら、他の生徒たちからどんな目で見られるか分かったもんじゃないから断り続けたんだけど、「そんな濡れた制服のまま帰る方が目立つだろ」と押し切られてしまった





「 …なんで、あの場所分かったんですか…？ 」

『 たまたまだよ、本当にたまたま

雨上がりで地面ぬかるんでるだろ。変なとこに足跡あるな〜と思って辿っただけ 』



私が連れていかれていたのはもう使われなくなった運動場の倉庫だ

あそこに人が来るなんて滅多にないし、事実今回が初めてだった






「 なんか…名探偵みたいですねw 」


そう言って思わず漏れた笑み



彼と、バチッと目が合って反射的に逸らす




『 …Aさんさ、よく笑えるようになったら絶対あんな思いしなくなると思うけどね 』


そんなことを言われて、心臓がキュッとして彼の方にまた目をやると、綺麗な瞳が私を確かに映し続けていた











『 じゃあ俺こっちだから！気をつけて帰ってね 』


そう言って爽やかな笑顔を作った彼は手をヒラヒラと振って私の家と反対方向に歩いていった

私は、誰にもみられないように胸の前で小さく手首だけを動かすように彼の背中に手を振った










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この気持ちは一体なんなんだろうか




怖くてとか痛くてとかじゃない

胸がドキドキして、ザワザワして…




何か、何かがほんの少しだけ変わった気がする



多分それは決して大々的なことでは無いけど、何か歯車が1つ大きく回り始めたような、そんな感じ







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