ほっとここあ【短編集】

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貴方side













「 おかえりなさい 」

「 うん 」




同棲を初めて3ヶ月


それまでは感じていた彼の愛情を、感じることがピタリと無くなった










「 今日ね、なーくんのためにオムライス作ったんだ！食べる？ 」

「 いいや。ごはん食べてきたし 」

「 …そっか 」




私はなーくんの1番になりたいのに


彼にとって私は1番じゃないんだね





辛いとき助けてくれたのは貴方で、その広い胸を貸してくれたのも貴方


私だけって言ってたのに、そんな事ないんだよね








「 ねぇ、今日シヨっか 」


急に甘えて、抱きついて来る時は決まってこのお誘い




彼に見合う女性になるために


服の趣味も変え、体に一層気を使い、


捨てられないように必死に生きてきた






拒否したら、何されるか分からないし、



これを彼からの愛だと思うことにしてる





そうじゃないと、今までかけてきた時間とお金が泡となる気がして









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やることを終え、疲れてそのまま眠ってしまった彼の寝顔を見ながら



この寝顔を見れるのは私だけだって信じ込むんだ








「 好きだよ、なーくん 」


聞こえてる、少しでも願って彼に呟く









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「 ……もう、いや… 」



彼の洗濯物の中から出てきた、知らないホテルのレシート


気付かないふりをしていた纏ってくる香水の香り





全然知らない合鍵







問いただしても、上手く言いくるめられて逃げられる










「 ……、 」

『 …、どした？ 』



「 さとみくん……、 」

『 今どこに居んだ！？すぐ行く 』

「 なーくんの家……、」




元カレ、私が振った相手



なのに、こういう時に頼ってしまうのはダメな事だよね






でも話せるのはさとみくんしかいなくて、私はさとみくんに電話をかけていた










『 今すぐ行くから！この電話切るなよ！ 』



ドタドタと慌ただしく動く音がスマホの向こうから聞こえる


その音を聞きながら、私は彼の居ない彼の家で机に涙を落とし続けた




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