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「貴方、何も分かってないのね。もう池田君に近づかないで。貴方みたいな人を見ていると腹が立つのよ。」
「なん、だとっ・・・!」
「次は容赦しないから。」
私は彼から離れ、池田君の手を引いてその場を離れた。
「し、不知火、血が・・・早く医務室に・・・」
「こんなの平気だよ。私、痛いの平気だし。それよりも池田君は怪我してない?」
「なん、で・・・僕、何もできなかった・・・また逃げた・・・不知火に怪我させた・・・ごめんなさい・・・ごめん、なさいっ!」
泣きながら私に抱きつく池田君。
私はそんな池田君を抱きしめ返すことしかできなかった。
しばらくして落ち着きを取り戻した池田君を、偶然通りかかった池田君と同じ二年生の子に任せ、私は医務室へと向かった。
思ったより傷が深かったのか、血が止まらない。
このままじゃ血が床に落ちてしまう。
「あっ、いたいた!不知火さ〜ん!」
「善法寺君?どうしたの?」
「どうしたも何も、三郎次から聞いたよ!手を怪我したんだって?早く見せて。菌が入ったら大変だ。」
善法寺君は私の手を取り、素早く手当てをしてくれた。
「僕、保健委員会委員長だから、怪我をしたらすぐ僕のところか医務室に来るんだよ!くれぐれも怪我を放置しておくのだけはやめてね!」
「う、うん。」
「それで怪我をした理由だけど・・・大体のことは池田から聞いたよ。久々知兵助に会ったんだってね。彼、本当はあんなことするようなやつじゃないんだ。きっと焦ってるんだと思う。僕も詳しいことは知らないんだけど、前の天女のせいで池田と色々あったみたいで・・・何か気の利いた言葉でもかけてやれたらいいんだけど、生憎僕も人にとやかく言える立場じゃないからさ。でもあまり久々知を責めないでやってほしい。久々知も久々知なりに頑張ってると思うから。」
「・・・分かってる。」
「そっか・・・じゃあ僕は行くね。また何かあったら言って。」
久々知君と池田君。
二人の間で何があったのかは分からないけど、このまま放っておくわけにはいかないよね。きっと二人共また前のような関係に戻りたいって思ってるはず。
事務の仕事が終わった後にでも、久々知君と同じ学年の不破君たちに聞いてみよう。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時