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「ねぇ、伏木蔵。」
「なあに?」
「この辺りにお城があるんじゃなかったっけ?」
「お城?あっ、そういえば・・・そろそろ引き返したほうがいいかな・・・?」
「確か、そのお城ってタソガレドキ城と敵対してるんだったよね?しかも戦力はタソガレドキにも劣らないとか・・・忍者も凄腕揃いらしいし・・・。」
「じゃあそろそろ忍術学園に戻ろっか。不知火さん、行きましょう〜。」
「うん。」
タソガレドキ城…確か、この前出会ったあの人もタソガレドキって言っていたような……。
「不知火さん、どうかしましたか?」
「ううん、なんでもないよ。帰ろう!」
そう私たちが歩き出そうと、足を踏み出した瞬間……
「おいそこのガキ共、止まれ。」
そんな野太い声が辺り一面に響き渡った。
「なんか見たことある顔だと思ったら、そこのお前っ!タソガレドキ忍軍忍び組頭、雑渡昆奈門のお気に入り忍たまじゃねえか!くくっ、これはいいところで出くわしたぜ。よしお前、俺に捕まれ。」
「そ、そんなの嫌に決まってるじゃないですか〜!」
忍装束を着ているということは、この男は忍者か。きっと伏木蔵君たちが話していた城の忍者に違いない。まさかこんなところで出くわしてしまうとは……。
私はこの土地の地形を把握していないし、今所持している武器は苦無だけ。しかも相手はどう見たってやり手だ。私一人で四人を守りきれるかどうか……。
「ど、どうしよう・・・」
「僕ちびっちゃった・・・」
「あの人、あの城の忍者だよね。」
「全力で走ったら逃げ切れるかな?」
「おい、何をコソコソ話してんだっ!!」
全力で走って逃げ切れるとは思えないな。
私が囮になって、四人を逃がすしか……。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時