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落ち着け、私……。
完全にこの子たちのペースにのまれてる。
私は二人の手を繋いだ。
「なんで手を繋ぐんだ?」
「君たちが食堂と全く違う方向に行こうとするからだよ!」
「「えっ?」」
「えっ?」
ま、まさか、自覚無し?
「もういい。とりあえず、私の手を絶対離さないで。」
「「分かった!」」
三反田君が言っていたとおり、個性的過ぎる・・・確かにここまで個性的だと、三反田君の影が薄くなっても仕方ないと思うよ・・・。
「新しい天女、いいやつだな!」
「そうだな!俺、次屋三之助。」
「僕は神崎左門だ!」
突然始まる自己紹介……。
フリーダム過ぎる……。
「私は不知火。」
「不知火は優しいな!」
「えっ?」
「俺たちのこと食堂まで連れてってくれるし。」
「前の天女なんか、嫌がらせで僕たちのこと知らない場所に置き去りにしていったもんな〜。」
「もしあの時、作兵衛が見つけてくれなかったら、俺たち死んでたな!」
いやそれ笑い事じゃないと思うよ。
全然笑えないから……。
「あっ、お前ら!!」
「作兵衛?何してるんだ?」
「お前らを探してたんだよ!」
「不知火、こいつが富松作兵衛だ!」
「お、お前らなんで天女なんかといるんだよ!?おい天女、そいつらの手を離せ!」
「さ、作兵衛、不知火は・・・!」
「手離せっつってんだろ!!」
富松君は私の手をはたくと彼らの手を取り、自分の方へ引き寄せた。
「もう二人に近づくな。もし二人に何かしてみろ。俺は容赦なくお前を殺す。」
「さ、作兵衛待っ・・・!」
富松君は二人の話も聞かず、そのまま二人を連れて行ってしまった。
きっと富松君にとってあの二人は大切な存在なんだろう。あんなふうに言われても仕方ないか……。
私は食堂へは行かず、自室へと戻ることにした。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時