語り/富松作兵衛 ページ15
またあいつらがいなくなった。
そんなのは日常茶飯事で、前までの俺なら「あぁ、またか。」くらいにしか思っていなかった。だけど今は違う。また新しい天女が忍術学園にやって来たのだ。天女は危険だ。きっと新しい天女も前の天女のようにあいつらを傷つける。
俺は必死にあいつらを探した。
天女より先にあいつらを見つけないと、また何されるか分かったもんじゃない。
「左門!三之助!どこだー!いたら返事しろー!」
夕日も沈み、外は既に闇に包まれている。
二人の返事もない。
なんでっ……なんでいつも俺のそばからいなくなるんだよっ!俺がどんな思いで、いつもっ……!
「前の・・・なん・・・しら・・・」
「・・・あの・・・見つ・・・・・俺たち・・・・・・」
この声……!
俺は急いで声がした方へ走った。
すると次第に人影が見えてきた。
間違いない。
あれは左門と三之助だ。
良かった……本当に良かった……。
俺は二人に声をかけた。
その時の俺は二人のことしか考えていなかった。
そのせいで俺は、二人の他にもう一人誰かいることに気づけていなかった。
“不知火、こいつが富松作兵衛だ!”
不知火?
俺は左門の目線を追った。
するとそこにいたのは、今学園中で噂されている新しい天女だった。
なんでここに天女が……?
それになんでこいつら普通に天女と話してんだよ?
まさか妖術にかけられたんじゃ……!
俺は天女の手をはたき、二人の手を天女から奪い取った。
二人が何か言おうとしているが、今は聞いている暇なんてない。俺は天女に一言釘をさし、二人を連れてその場から離れた。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時