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朝起きると、私は自分の部屋にいた。
あの後のことはよく覚えていないけど、布団に寝かされていたことを考えると、潮江君が私のことを部屋まで運んでくれたのは間違いないだろう。
私は自分の唇に軽く触れてみた。
まさか唇を奪われるとは……。
潮江君がどういうつもりであんなことをしたかは分からないけど、潮江君のことだから理由もなしにあんなことはしないだろう。
それにあの時の潮江君、すごく色っぽくて、キスも激しくて、なんだか潮江君じゃないみたいだった。
あぁ、ダメ……。
思い出しただけで恥ずかしくて死にそう。
いやもういっそのこと殺してほしい。
「不知火さ〜ん。」
「ッツ!?つっ、鶴町君!?」
どこからともなく現れた鶴町君。
全然気づかなかった。
……心臓止まるかと思った。
「今日はピクニックに行く約束してましたよね〜?」
「う、うん。ちゃんとお休みもらったよ。」
「本当ですか〜?じゃあみんなにも伝えてきますね〜。」
「分かった。私、食堂で待ってるね。」
「は〜い。」
そう嬉しそうに、私の部屋を出ていく鶴町君。
私は着替えて、食堂へ向かった。
「あぁ〜、不知火っ!!」
「不知火だっ!!」
「ど、どうも。」
食堂に入るなり、私の名前を叫ぶ神崎君と次屋君。そして控えめに挨拶をする富松君。今日は三人共、縄で繋がれている。やっぱり縄で繋いでいるのは迷子防止のためなのかな……。富松君、苦労してそうだな。
「おはよう。三人も今から?」
「あぁ!不知火も一緒に食べよう!」
「うん。あっ、でも・・・」
そういえば私、富松君に嫌われてるんだった。
私なんかが一緒に食べたら雰囲気が悪くなりそう。
やっぱり断ろう……。
「私、違うところで・・・」
「あの。」
「な、何、富松君?」
「俺も・・・不知火さんと一緒に・・・食べたい、です・・・・・・」
「「作兵衛・・・!!」」
「不知火、作兵衛もこう言ってるし、一緒に食べようぜ。」
「う、うん。じゃあ一緒に食べようかな。」
富松君、どうしたんだろう?
あんなに私のこと嫌ってたのに……。
神崎君と次屋君に何か言われたのかな?
もしそうなら二人には感謝しないと。
このままずっと嫌われてるのも嫌だったし……。
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作者名:ずみ | 作成日時:2019年11月2日 17時