【忍たま】柑橘狂はトリップしても無敵Part７

初対面2 ページ10

時雨をぶっ叩いていると、それを見ていた孫兵くんが私をじっと見つめてきた。

「………なっ、なに…？」

「……いえ、僕を押し倒した時とは別人なほど純粋な反応だと思って」

「押し倒したぁ！？」

孫兵くんの衝撃の一言に3人が声を荒げる。

「ちがっ、あれは色々あったの知ってるでしょ！？
それに未遂だから！
狙って未遂にしたから！」

「よく言いますよ。
嫌がる僕を組み敷いて首筋に跡付けて…
竹谷先輩が来なかったらどうなってたことか…」

「A、あんた……」

「寸でで止めるって言ったじゃん！」

「でも怪我したところは残りますよね」

「そうだけどさ！それは悪いと思って何度も謝ったでしょ！？
なんでそんな意地悪するの！？
私の数少ない友達消すつもりなの！？」

感情が昂って生理的な涙が溢れ出す。

さすがに泣くとは思わなかったのか、孫兵くんは私に向かって手を広げてきた。

「すいません、ちょっと悪ふざけしすぎました。
ご友人と楽しげに話されていたので妬いたんです。
もう傷とか気にしてませんから」

「孫兵くん酷いぃ…」

「でも好きでしょう」

「…………………………性格悪っ」

ぼそりと呟きながら孫兵くんに抱きつき、首筋に顔を埋める。

「………化粧の匂いすんだけど」

「痣が目立つからと母にファンデーションを塗られたんです。
衣類に付くの嫌で断ったんですけど、彼女と会うんだからと言われて」

「痣つけた張本人なのにね」

「ここでは生まれつきですから。
涙でメイク落ちませんか？」

「フィルムタイプのマスカラの偉大さ嘗めちゃ駄目よ」

軽口を叩きながらむぎゅむぎゅと抱きしめ、背後からの視線に気づくまでずっと孫兵くんとくっ付いていた。

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