ひかく《稲荷崎》 (ページ2)

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Aside

「なぁ、紗奈ちゃんの連絡先教えてくれへん？あんた紗奈ちゃんの姉やろ？」

入学式早々。

本人に聞きに行けばええやん。

私は、いつもこれに困ってる。

『本人に聞きに行けばええんと違う？』

「それが出来へんからあんたなんかに聞くしかあらへんねやんか。」

『そんな失礼なことゆう奴に紗奈の連絡先教えられるわけあらへんやん、ちょっと考えたらわかることやろ』

「舌打ち))もうええわ、金輪際関わんなよ」

『ほんなら紗奈にも関わられへんけど？』

「黙れや！このクソブス！話しかけられてるだけ感謝せえや！」

『…ッ、』

痛っ、

でももう慣れっこや、暴力は。

紗奈に向けられた嫉妬とかは、

ぜーんぶ私に当たってくる。

男子も、今みたいなことがよくある。

年中長袖、黒タイツの下には、

痣だらけの私の肌が隠れている。

クソブスとかも、よく言われる。

知ってる。

紗奈よりも、

容姿が劣っていること。

私が中学時代、

やっと紗奈に取られずに手に入れた、

大好きな彼氏も

紗奈が好きだから、という理由で別れられた。

だから私は諦めた。

『…痛いねんけど』

少し涙目になっているのが自分でもわかる。

恥ずかしい。

「舌打ち))覚えとれよお前」

そう言って彼は去っていった。

？「紅月さん大丈夫!?怪我してない…って、凄い痣！どしたん!?」

『あー…階段から落ちて…』

？「ほんまに？まあええわ！うちは八重(名前3)！入学式ん時から紅月さんのこと気になっとって！友達なりたいなーって！」

『ありがとう…私も自己紹介した方がええ？』

八重「ええよ！もう知っとるから！」

『そか。ならええわ。』

八重「それよりさ、紅月さん、前髪上げたら？その方がええで？」

『いや、提案は嬉しいけど、遠慮しとくわ。あと、Aでええよ』

前髪を上げたくないのは、

紗奈より劣っている容姿を隠すため。

上げる訳には行かない。

八重「さよか。んじゃ、ばいばい、A！」