侍嫌いの元攘夷志士７(メイン編） (ページ29)

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２８３　また話そうページ29

貴「し、ろきち・・・・。」

白吉「・・・れ、誰だ？」

貴「・・・・。」

鉄格子の向こう側には痩せた白髪混じりの男、白吉。

貴(お互い変わりすぎだよ・・・・。)

白吉「おめぇさん、ここのもんじゃねぇだろ？ここから今すぐ出ていきな・・・。」

こんな時でも他人を心配する所は変わってないのには少しホッとする。

貴「まあまあ。大丈夫だって・・・。」

素っ気ない返事をするAは牢の南京錠に手を伸ばしてピッキングを始める。

ガシャン

白吉「何やってんだ！？おい・・・！説明を・・・・ぁ」

何も分からない白吉は柵に手を伸ばして目の前の男に近寄ると、薄暗い中で丁度目が合った。

白吉「あ、いや面影・・・・まさか・・・・・おめぇさん・・・いや、なんでもねぇ。」

貴「・・・あの、あってるよ？A、A。俺だよ白吉。」

白吉「・・・Aっ！・・・おめっ・・・・ってやつは・・・ああ・・・。」

堪えきれないほどの喜びに白吉はもう胸を押さえて、涙目で震えた。

貴「・・・・もう少しで開く。白吉、走ること・・・は出来ないかなぁ。」

白吉「あ、ああ。」

貴「おーけーわかった。」

きっと白吉の本音は、「来ないで欲しい。Aを危険に晒したくない。なんで出来たんだ。」

といったものだろう。

それでもAがこの城内に居るということは、もう危険を冒している事に間違いない。

Aの努力を無にしたくないといった思いだろう。

貴(やっぱり年取っても頭が回るんだな・・・・理解が早くて助かるわ。)

カチャッ・・・カツ・・・・カチン

牢から出ると白吉はまず辺りを警戒し始める。

白吉「・・・・・？おめぇさん、その足。」

貴「あー昔ちょっと、まあ追々話すから。」

白吉はそれ以上は追求せずにAを先導に来た道を戻るが、

先ほどの薄暗かった廊下が明るくなっていた。

貴(真選組・・・じゃないな・・・人が居なさすぎる。おかしい。)

白吉「うしろ！！」

振り向く暇もなく、Aの背後からは刃が振り下ろされようとしていた。

歯を食いしばって杖を軸にしゃがみ、回し蹴りをするA。

「ああーやれたと思ったんだけどな・・・。僕もまだ半人前ってことか。」

貴(ああ・・・最悪だ。)

あつき「それと、回し蹴りは隙が出来る・・・・じゃなかったのか。」