【ONE PIECE】海軍大将は海の女神も務めます陸【ロシナンテ】

272話 ページ38

「……そう、なの？」

その後もいくつか聞かされた父さん達の過保護エピソードは、私が知らないものばかりだった。

ロシーはまだまだあると話したそうにしていたが一旦打ち切ってもらおう。


「知らなかった。
確かに、彼らにとって最悪の敵の娘にしては大切に育ててもらってるなあと感謝してたけど…


そこまでとは。」

「まあ、お前にとっては父親であると同時に厳しい師匠ってイメージの方が強いだろうし」

「私の中で過保護だなって思うのはギルバートとマシューぐらいのものだったんだけど…

そう言えば父様達とギルバート達はなんだか仲良さそうだったわね」

私のコートを作るときもギルバートにサイズを聞いていたし。

「過保護どうしの結託だな。」

「……。聞くだけで胃薬を欲する言葉ね。」









どさっ！

デートを終え父さんから逃げ、騒がしかった心も落ち着き始め、私は着替えもせずにベッドにすべり込んだ


「はぁぁぁ、疲れたわね。

でも今日はあなたの珍しい一面も見れてなかなか充実した日だったんじゃない？」


私が寝転がるすぐ側に腰を下ろしたロシーは、私の髪を撫でながら焦ったように顔をゆがめた


「ちょっ…さては反省してねえな？

そりゃああんなイレギュラーな出来事起こると思わなかったけど

そんな無防備な姿を見せるからキスされちまうんだぜ？」

「無防備ぃ？」

私が？


私も顔をしかめながら体を起こし、ロシーの膝に頭を乗せた。

「どこがよ」
「…

本当、懲りないな」

「？なに…んっ！」

一言言うとロシーは私の頭を持ち上げ、唇に噛みついてきた。


「…っん…ぅ……ふ…！」


息を吸おうと開いた口から舌がねじ込まれる



……このタイプか！！！！



どのぐらいこのキスが続いたのか。


苦しさを感じてロシーの胸を叩こうとしても、その中にある心地良さがその手を止めさせる。



生理的な涙がひとすじ流れたところで、やっと彼は唇を離した。


「…っ…、は……」
「……な？

気をつけてくれよ。」

「っばっか…」


息切れしている私を息もあがらずに見下ろすロシーだったが、

爛々とし余裕がなさそうであるその目は、なんだか時折見せる獣のような目であった。


「…っふう、でもまあよく我慢したなぁ俺…」
「？！

…我慢って？」
「……


これ以上のことを、だ。」



…これ以上が、あるの？！


「…


これ以上…って？」




そう問うと、ロシーはにっと笑った。


「結婚したら教えてやるよ。」

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