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第313話 ページ24

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「生憎、あの人が裏で何をやってたかなんて知り得ませんよ、私は」

「‥‥‥お前は真昼程とは言わないまでも、柊の中では間違いなく天才の部類だ。
加えて姉妹ならば、奴が何を考えそうかなんてわかるんじゃないのか」

「あの人と思考の読み合いなんて泥沼化するだけなので、私は御免ですね。
中将もそれはわかってるのでは?」

肩を竦めてそう言うと、彼は私をじっと見つめ、「‥‥‥お前は」と問い掛ける。

「俺に憑いているバケモノの存在を、感じ取れているか?」

「‥‥‥なぜですか?」

「‥‥お前は以前、自分は鬼を宿さず生まれた失敗作だと言った。

だがたとえそうだとしても、気配を感じ取り、それが何なのかわかるんじゃないのか?」

鬼を宿さずとも「器」として私の身体はできているのではないか───という推測だろう。

確かにそれは正しい。
だが、

「‥‥‥気配を感じ取れても、それがなんなのかまではわかりませんね」

鬼の性質での違い───例えば、黒鬼、羅刹、童子、明王、夜叉、餓鬼などのランク───でなら、なんとなくだが判別はつく。

でもそこまでだ。「正体」までを知ることはできない。

容貌や、強さや、男か女か───
そんなのまで察することはできない。
あくまで私が感じ取っているのは、鬼の「邪気」「悪意」であるからだ。

現に、君月くんや優、与一くんの持つ鬼が黒鬼だとはわかっても、個々の違いはいまいち判別がつかなかった。

「───ただ、あなたに憑くそのバケモノとやらは、確かに、私が今まで感じてきたものとは違うということはわかります」

「‥‥‥と、いうと?」

「私もよくわかりません。でも、こんな感じ(・・)は初めてです」

素直にそう答えると、中将はまた黙り込んだ。

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夏向(プロフ) - 朝陽さん» こちらこそありがとうございます‥‥!!! (2022年10月2日 23時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてました!ありがとうございます! (2022年9月13日 23時) (レス) id: 2c0d85a97f (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - レモンはちみつさん» ありがとうございます!文章を褒めていただけると本当に嬉しくてすぐ調子乗ってしまいます(笑)気長に更新をお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 仁奈さん» ありがとうございます!更新が本当に遅くて申し訳ないです…。気長にお待ちいただけるとありがたいです…! (2022年9月13日 23時) (レス) @page49 id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
レモンはちみつ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!一気読みしてしまいました。ワートリも終わセラも大好きなので嬉しいです!!書き方もすごく上手くて感情移入してしまいました、書き手として尊敬します!これからも頑張ってください!更新楽しみに待ってます! (2022年8月14日 22時) (レス) id: 95afc2042e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2018年4月2日 10時

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