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「あ、グレン様！」
「小百合、車を出せ。新宿に戻る」
「‥‥あの、グレン様。そちらの子供は？」
「説明は後だ。とにかく今は帰る」
山の麓に待たせていた従者2人に手短に命令しながら抱えた子供ごと車に乗り込み、座席に下ろす。すると「あなたはロリコン誘拐犯だったんですね。さっきの言葉は撤回します」と言った。
事情の説明は、真昼が一方的にしてきていた。
彼女は戸籍上では死んだことになっており、柊の家系図でも「死亡」扱いになっていること。
養子に出しはしたが、《百夜教》が手を回し、義理の両親は《百夜教》信徒へと急速に堕ちていったこと。
それらは斎藤が、彼女を真昼への人質として使うためであること。
「‥‥おまえは、どこまで知ってる」
尋ねると、「それは姉のことを、ですか？」と首を傾げた。シートベルトをしていなかったので、手を伸ばしてそれを引っ張り出してつけてやる。
「残念ながら蚊帳の外です。私はあなたが姉さんの想い人だったということしか知りません。
ああでも、世界崩壊の2日前に、一度会いはしましたよ」
時雨と小百合が、驚いたようにこちらを見る。鏡越しに合った視線を受け、前を向けと顎で示す。
「真昼に会ったのか？」
「はい。もう会えない、と私を抱き締め、そして、これから怖いことが起きるって」
「‥‥他には、何て？」
「気になりますか？ さすが元恋人」
「お前ら姉妹は揃いも揃って疲れる」
シノアと言動がそっくりだ。やはり、あの3人は血が繋がっている。
「姉は、“決められた運命の中にいる”って。そして、私も同じだと。それでも生きて、自分のようにはならないでほしい───とも、言っていた」
嬉しそうに笑う、真昼。
(‥‥お前はこいつに、何を残した？)
〈ふふ、いろいろよ。でもそれは教えてあげなーい。女の子同士の秘密よ〉
はぁ、とため息をつく。「続きは？」
「‥‥“大地は腐る。魔物が徘徊する。空から毒が降る。終わりの天使セラフがラッパを吹き鳴らし、この世界は崩壊する。そこではきっと、人間は生き残れない。か弱い人間はそんな世界じゃ生き残れない”。
あなたは、この、姉の遺した言葉の本当の意味が、わかりますか？」
まっすぐに俺を射抜く視線。
それは、俺ではなく、俺の中───真昼に、注がれているように錯覚する。
だがこいつは、真実を知らない。そんなことがあるはずはないのだ。
真昼はただ、笑っていた。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
