第268話 ページ40
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「おまえが身体張ってんのに、なんで俺らがそうしないって思ってんだ」
「‥‥だ、だって、そもそも、私は‥‥」
「‥‥私は、何だ？」
百夜は何かを言おうとして、口を噤んだ。言うのが恐ろしい、という顔で。何をそんなに怖がっているのかわからなくて、首を傾げる。今更百夜が何を言おうと、俺達のために命を懸けてくれていたことを考えれば屁でもない、と思った。生半可な気持ちで己を人体実験の材料として差し出すものか。
「私、は‥‥利用、してるから」
「何を？」
「‥‥太刀川さん達を」
利用、という言葉に少し考え込む。彼女が俺達を都合のいいように扱ったことがあっただろうか、と。少なくともこの世界に来てから百夜は常に俺達の安全を考えて動いていた。やり方は気に食わなくても、それだけは絶対に確かなのだ。
「‥‥皆は、こんな私をまだ大事な仲間だって、生きててくれればそれでいいって、思ってくれてるんです。私がそこまでする必要ないって、絶対帰って来いって。‥‥それなのに私は、自分のために仲間を利用してる」
それが具体的にどのようなものかは言わなかった。だが百夜がどうして、何に対して罪悪感を抱えているのかはなんとなく察した。
「‥‥利用してるから、おまえはその罪滅ぼしに命懸けてんのか？」
「‥‥罪滅ぼし、では、ない‥‥です。‥‥ああ、でも‥‥そういうことでも、あるのかな」
「悪いが俺は今までおまえに利用されてると感じたことが無い。だからその罪悪感はいらない。むしろ、いくらでも利用されてやる」
「‥‥で、でも」
「でももクソもない。仮におまえが俺の自覚してないところで利用してたとして、それが何だ？ おまえは俺達のためにいくら払った？ それは俺達がおまえにしてやれたこととつり合いが取れてるのか？」
怒涛のように詰めれば、百夜は怯んだような目をして俯いた。その口から反論の言葉が出てこないのを見て、続ける。「‥‥少なくとも俺は、おまえが払った犠牲に見合った何かをしてやれたとは思ってない」
「そんなこと」
「ある。そんなことあるんだよ百夜。だって俺は、おまえについて何も知ろうとしなかった。それが正解だってずっと勘違いして、目を逸らしてるだけだってことに気づいてなかった」
「‥‥何も聞かれないことを望んでたのは、私です」
「知ってるよ。話を逸らされてることも、それがわざとだってことも昔から知ってる」
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
