第257話 ページ29
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「‥‥って、ことがあって」
「なるほどな」
Aが出掛けてから不意に太刀川さんが話したのは、1週間前の出来事だった。深夜に帰ってきて、彼女にしては珍しく疲労を浮かべた様子だったこと。仕事か、という問いに歯切れ悪く答えたこと。
拷問の時ですら微塵の疲れも見せなかった彼女が、それを取り繕う余裕もなくなるほどの「仕事」とは何だ。
おれ達の知らないところで、また何かが起きている。それがわかってしまうくらいにはこの世界に滞在している。
「先輩ってほんと隠し事ばっかりだよね。いい加減うんざり」
「言う必要がないと思ってるからだろ。‥‥きっと、先輩なりにいろいろ考えてるんだ」
「僕たち完全に当事者でしょ。蚊帳の外に置かれても困るんだけど」
「それは‥‥確かに、そうだけど」
後輩2人にもかなり思うところがあるようで、菊地原を宥める歌川の言葉にも迷いが浮かんでいる。これまで甘やかしてくれていた先輩が拷問されていて、当然のように自己否定をするところを目の当たりにした彼らの心中は察するに余りある。
おれだったらひたすら困惑するし、かけられる言葉もわからない。
「‥‥潮時だな。百夜に全て吐かせるか」
風間さんの口から若干物騒な言葉が飛び出して、相当ご立腹なんだなと思った。この人が太刀川さん以外に実力行使に出ることはそう多くない。大分腹に据えかねているのだ。
その時、玄関先からガチャリと音がした。彼女が告げていった帰宅時間はまだ先だ。にわかに緊張した空気の中、菊地原が「‥‥違う。多分大丈夫です」と言う。顔を見合わせていると、廊下から顔を出したのは一瀬さんだった。
「‥‥あ？ おまえらだけか？」
「百夜ならまだ帰ってこないと思うけど」
「‥‥あー。今日は昼の日か」
独り言のようにそう言った彼は書類の束を持った手を上げて、その束で首元を一度軽く叩きながら「また来る。邪魔したな」と踵を返した。咄嗟に「あの！」と声をかければ、身体を半分だけこちらに向けた。
「何だ」
「‥‥あの、Aが今度は何してるか、知ってますか」
「知らねぇ」
即答だった。でもそれが逆に怪しく見えて、「‥‥あんたがAの行動を知らないなんて嘘だろ」と言った。すると彼は「あいつが言ってねぇなら俺が言えるわけねぇだろ」と面倒そうに溜息をついた。
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じゆんきむ(プロフ) - 返信ありがとうございます。楽しみに待ってます！ (1月11日 21時) (
レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - じゆんきむさん» 返信遅くなりすみません。現在修正中なんですがリアルが忙しくて…。年度内には再公開できればと思っております (1月11日 2時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - 7個目の話はいつ公開されますか？？ (12月27日 1時) (レス) id: 3005c0f58d (このIDを非表示/違反報告)
雫鶴鳩 - ありがとうございます！！見捨てなんてしませんよ(笑)これからも更新頑張ってください！！ (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 雫鶴鳩さん» (続き)読みにくいかと思われますが、今後はそのように解釈していただけると嬉しいです。これからもこの小説を見捨てないでいただけると大変ありがたいです！ (2017年10月21日 10時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2017年10月10日 16時
