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第198話 ページ9

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_東京・渋谷__



「‥‥やっぱり、ここにいた」

私が来たのは、最上位ランクである《黒鬼》シリーズが封じ込まれた部屋。
中に踏み込めば、嵐の力がさらに強くなるのがわかる。鬼にも実家のような感覚でもあるのだろうか。

その部屋の中央で、特に何をするわけでもなく立っていた男に、「グレン」と声をかけると、「よお」と振り返る。

「よくわかったな」

「まあね。
で? 私に姿を見せなかったのはなんでかな。中将経由で話は伝わってるでしょ」

「理由は特にねぇ。単に会うのが面倒だっただけだ」

「うわ失礼しちゃう。そういうとこは全然変わってないね」

「お前はちょっと太ったな」

「死ね」

会って早々なんてことを言うんだ。それも華のセブンティーンに。
グレンは溜息をついて、なんでわざわざ会いに来る、と言った。

「おまえのことだからどうせ俺が何をしたか知ってんだろ」

「確認だよ」

「何の」

「‥‥グレンには、今でも家族を───仲間を守ろうって意思はある?」

「‥‥‥」

表情は全く変わらない。けれど目は問いを肯定している。
目は口ほどに物を言う、とはこういうことだろう。

「そういうおまえはどうなんだ?」

「‥‥‥」

「一向に弟たち(・・)のことを聞いてこないのは、そういう変化だと思っていいのか?
この4年で、結局お前は《柊家(やつら)》の思惑通りになったってことか」

「‥‥聞いたところで、何にもならないでしょ。その話をしたのは“あの人”の指示?」

「いや。俺が思ったことを聞いただけだ」

「あ、そ」

さーて、と一息つきつつ、グレンが腰の刀に手をかける。何だか嫌な予感がした。にやけ顔が鼻につく。


「久々に、やるか?」

───ああもう、だから、迅さん(あのひと)を思い出すな。声も性格も似てるって一体何なんだ。嫌だ嫌だ。


「‥‥いいよ。
腕がなまってると思ったら大間違いだからね」

「ははっ。そりゃ楽しみだ」

刀の柄を親指で押し上げ、引き抜く。
その数秒後には、両者の刀から火花が散っていた。



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夏向(プロフ) - るい酸性さん» 読み返していただきありがとうございます!6は現在改変中でして、土曜日中に全体公開する予定なのでもうしばらくお待ちください! (2023年2月11日 0時) (レス) id: b371f4960f (このIDを非表示/違反報告)
るい酸性(プロフ) - 久しぶりに読み返しました!6のパスワード教えて欲しいです! (2023年2月10日 17時) (レス) @page49 id: 825df6404c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏向 | 作成日時:2017年9月7日 19時

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