勘違い(宮治) ページ10
『派手にやりすぎやで』
「…ツムが悪いねん」
そう言って拗ねているのは宮治。
双子の侑と体育館で殴り合いの喧嘩をしているところを角名と私の2人で慌てて止め、双子の傷の手当てを別々にやることになり、私は治と2人で体育館倉庫に居た。
『だからってやりすぎやねん。ちょっと沁みんで』
「った…」
殴られて切れた口の端に、私は容赦なく消毒液を染み込ませた脱脂綿を当てていく。
ある程度拭いたからカットバンを貼り付ける。
『侑もだいぶ殴ってたけど、治も結構殴ったみたいやな』
「……ツムは平気なんか」
『侑やったら別んとこで北さんがやってくれてんで。今頃説教もされてんちゃうかな』
説教されてる侑の顔を想像し、私はつい笑ってしまった。治は相変わらず拗ねた顔をしていた。
『なんであんな喧嘩してたん?またプリンでも食べられたん?』
救急箱を片付けながら問いかけるも、治は目を逸らしたまま口を開こうとしなかった。
これは答えないなと思い、諦めて救急箱を持ち上げる。
『何があったかは知らんけど、あんまやりすぎて北さんの手を煩わせたらあかんで。倫太郎もちょっと驚いてたし、後で謝っとき』
そう言うと私は一足先に倉庫を出ようと扉の引き手に手をかけると、「Aの事やねん」と治が口を開いた。
「ツムが、自分のことをAが好きなのも、俺がAのこと好きなのも知ってんのに、あんま遅いと横取りするでって。そんなんAのことを弄んでるだけやん。俺それが許せんかったから…」
治は一生懸命だったが、私は話の内容が掴めなかった。
『ちょっと待って、どういうこと?』
「せやから、俺がAのこと好きなの知ってて、横取りしようとしてきてん」
『え、好きなん?』
「好きやで」
お互いに「え?」『え?』と言い合い、話が進まなくなってしまった。
『いや、私なんか言われても治のことが好きやから侑にはなびかへんで…?』
「え、侑のこと好きなんちゃうん?」
『いや、私が好きなんは治やで』
再び「え?」の言い合いになってしまった。
「なんや、両想いやったんか」
『まあ、そうみたいやな』
「安心したら腹減ったわ」
『えぇ、今?』
私たちは素直に笑い合った。
『侑に殴ってごめんくらいは言いなね』
「Aに言われたらそうせなあかんな」
「…付き合おか」
『せやな』
私たちらしい付き合い方だったような気がする。
勿論双子は北さんに怒られてた。
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時