笑顔と優しさ(赤葦京治) ページ22
『うわ〜、ガチで申し訳ない…』
「気にしないで。それより熱は?」
私は今日、熱を出して学校を休んだ。
京治とは家が近所だからか、先生は京治にプリントを持っていくように頼んだらしく、京治が家まで来てくれたのだ。
『だいぶ下がったと思う…朝はマジで動けなかった…』
「最近色々忙しくしてたし、疲れが出たのかもしれないね」
『多分それ……』
私はため息まじりにそう言った。
実際ここ最近、学校行事やらバレー部の練習試合やらで忙しくしていた。京治はいつも「無理しないで」と言ってくれていたのにこの有り様で本当に申し訳ない。
「じゃあちょっと失礼」
そう言って京治は私の首に手を当て、そのまま頬にも手を当てた。
『えっ、なになに』
「ん〜…まだ熱下がりきってはないね。熱下がってもキツかったら無理せず明日も休んで」
『えっ…ママ?』
「ママはやめて」
ついママ?なんて言ったけれど、そんなの照れ隠し。京治に触られた部分が熱くなる感覚に陥った。まだそんなに熱あるのかな、と思うほどに。
「俺はそろそろ帰るよ」
そう言って立ち上がった京治のブレザーの裾をキュッと握った。
京治は私の手に自身の手を覆いかぶせて、「何?」と優しく返してくれた。
『もうちょっと…傍に居てもらえませんかね…』
俯きつつそう言うと、京治は再び座りこちらを見つめた。
「Aが言うなら、いつまでも傍に居るよ」
そう言って笑った京治を見て、私の胸がドクンと強く脈を打った。
京治って普段はあまり笑わないからクールな雰囲気があるけれど、私に見せてくれるこの笑顔はとても優しい。
京治の笑顔が私だけのものならいいのに。
「Aだけのだよ」
ふと京治がそう言った。
『え、あ、え…声、出てた?』
「しっかり出てた」
私が慌てて布団で顔を隠すと、京治は頭を撫でてくれた。
『私、京治の事ずっと好きだったんですよ…』
「うん、俺も好き」
『彼氏になってくれませんかね…』
「もちろん」
ーー
『ねぇ京治?』
「なに?」
『好きだよ!』
「はいはい」
『すきすき!』
「はいはい」
『大好き!』
「はいはい」
『私の事好き?』
「もちろん」
『なっ…!!』
「古典的過ぎ。騙されないよ」
そう言って柔らかな笑みを浮かべる京治。
京治の優しい微笑みは、私だけの宝物。
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時