検索窓
今日:17 hit、昨日:14 hit、合計:84,979 hit

甘い微笑み(国見英) ページ20

『あっ、国見ちょっといい?』

「えっ、なんすか…」


放課後、部活が始まる前に体育館で準備をしていると、1番に来たのは国見だった。

私は国見か金田一に聞きたいことがあったため、まあラッキーだと思い声をかけた。


『国見って飛雄の連絡先持ってる?及川に聞いたらなんか…』

「持ってません」

『その即答は嘘ついてる時のスピード感だよ』


まあ国見ならそういうのは何となく分かっていた。私は仕方ないかと溜息をついた。


『まぁいいよ、金田一にも聞いてみる』

「そうしてください」


国見はそう言うと、シューズに履き替え紐を結び始めた。


『国見って中学入った時から飛雄と仲悪いっけ』

「良くはなかったですね」

『まぁ、2人は正反対だもんね』


2人きりの体育館、2人の声だけが響く。


『あれ、そういえば金田一は?』

「なんか体育委員の会議あるみたいで」

『あ〜、体育祭近いしね。そういえば及川たちも遅くなるって言ったな…』

「じゃあ今日は緩くいきましょうよ」


国見はそう言って、賄賂を渡すかのようにコソコソと塩キャラメルを懐から出してきた。


『いや、それで言うこと聞くの国見だけだからね?』

「え、俺のお気に入りですよ」

『え?そうなの?1個食べたい』


私がそう言って手を出すと、国見は箱から1つ取り出し手のひらに置いた。

私はありがと〜と言って包みを剥がし、口に放り込む。


『あ、これ美味しいわ』

「ですよね。あ、ひとつ言っていいですか?」

『えっ、なに…』


ちょっとビビりながら国見の方を向く。


「それ、最後の1個だったんですよ」

『えっ…え、待って、ごめん。吐き出そうか?』

「それはやめてください」


申し訳なさに何となく黙ってしまった。
国見は相変わらず静かだった。


『……新しいの買おうか?』

「いや、それはいいんで代わりに1ついいですか?」

『なんでもどうぞ…』


私が軽く俯きつつそう言うと、国見は何かを思いついたようで、私の頬に手を当てた。
私が驚きのあまり顔を上げた途端、口付けが降ってきた。


『く、国見……!?』

「…甘いっすね、やっぱり」


国見はそう言って自身の唇を舐めた。


「まぁ俺、Aさんのこと好きなんでいいですよね?」

『いや無理やり過ぎるでしょ…』

「嫌、でした?」


国見は距離を詰めて顔を覗き込んできた。








『嫌じゃ、無いです……』

「…よかったです」


国見の柔らかな笑みを見た。
こいつには勝てない気がする。

火花の理由(黒尾鉄朗)→←静電気(北信介)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
136人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 短編集 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。