大成功(角名倫太郎) ページ17
『すーなーりんっ』
「うわっ」
『うわってなんや!うわって!!』
まあ角名がそんな反応をするのも無理はない。
我ら稲荷崎高校バレー部は毎年恒例の夏合宿をしていた。
消灯時間である10時に差し掛かった頃、主将の北信介から「角名がまだ戻ってきてへん。俺も探すから一緒に探してくれ」と連絡があり、合宿所を探し歩いていた。
念の為と思い、私たちの使っていない階に上がると、廊下の椅子に座っている角名を発見し、私は急に声をかけたのだ。
『信介が探しとったで。もう消灯時間過ぎとるし』
「分かってますよ。戻りますよ」
『まあ戻りたないんやったら、折角やし先輩とお話ししよか』
だるそうに立ち上がった角名にそう声をかけると、角名はこちらを向いた。
私は握っていた携帯で、信介に「角名見つけたからあとで部屋に返す。信介は先休んどき」と連絡して携帯をしまう。
『なんでここにおったん?』
「いや…」
歯切れの悪い様子を見ていると、何か言えない事情があるのだろうなと思った。まあなんでもいいやと思い、私は角名が座っていた場所の横に座った。
『角名も座りや、お話しするんやろ』
「はい…」
角名は私と少し間をあけて座った。
「あの、新田さん」
『ん?どないしたん?』
「俺、言いたいことがあって…」
『ん?なんや?聞くで』
角名はどこか落ち着きの無い様子で俯いていた。
私は角名が話すまで、急かすことなく待った。
「俺、新田さんのことが好きです」
突然の告白に私は驚いてしまった。鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたと思う。
角名はすかさず写真を撮った。
『ちょっ、角名!何撮ってん!』
「いや、いい顔してたんで」
角名は写真を眺めながらうっすら笑っていた。
途端に後ろから「てってれーん!」と侑の大きな声が聞こえてきた。ちなみに私は叫んだ。
「ドッキリ大成功」
無表情の角名がそう言った。
侑と治は後ろでケラケラと笑って盛り上がっていた。
『嘘やったんか…』
そう言って肩を落とすと、角名は私の肩をトントンと叩いた。私が顔を上げると、
「好きなんは本当ですよ、Aさん」
と耳元で囁いた。
多分私の顔は真っ赤だろう。
角名は着ていたジャージを私の頭から被せた。
『そんな薄着だと風邪引きますよ。ほら、侑も治も部屋戻る。そういえば北さんは…』
角名は誤魔化して、侑と治を連れていってくれた。
顔が熱い。角名の声が頭から離れない。
今夜は眠れそうにない。
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まる - 泡姫さん» お時間かかっても全然構いません…!!むしろリクエスト叶えていただけるだけですごく嬉しいです…!続編をお気に入り登録しておきます…!!!!!! (2月18日 15時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - まるさん» わー!リクエストありがとうございます!久しく書いていないため少しお時間頂いてしまうかもしれませんが、私なりに書かせていただきます!!現在こちらの作品は続編の方を更新する形になっておりますので、よろしければそちらをお気に入り登録してお待ちください! (2月18日 12時) (レス) id: 5951de0be4 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作者さんにリクエストが…。銀.島.結.で過去の辛かったことを銀が全部包み込む…みたいなお話を書けたりしますでしょうか…?(語彙力なくてすみません…) (2月18日 11時) (レス) id: 649d507a41 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジさん - 好きで愛してるわ作者さんじゃなくてさ、作者様じゃね?(は?何言ってやがるオレンジさんや) (2022年7月10日 21時) (レス) @page48 id: 0e3c42be20 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫(プロフ) - 愛菜さん» そういう素直で分かりやすいお言葉が1番嬉しかったりします……今後も緩く書いていきますので時々キュンとしに来てください…!(ちなみに現在次話執筆中です…) (2021年11月6日 11時) (レス) id: 8284d2d1b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月1日 21時