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甘い【8】 ページ9

本当は「昨日お店に来てたよね」って聞きたかった。けれど口から出たのは違う言葉だった。


「学年1位なの!?」

『えっ?』


ほら、彼女も驚いてる。
けれど彼女は笑った。声を出して明るく。


『そうだよ、1位の夏目だよ』


笑いながら彼女はそう言った。『もう熱も下がって元気だし、明日は学校行ける』と加えた。


「夏目さんって、部活とかやってるの?」

『部活入ってないんだ。その代わり生徒会頑張ってる!』

「生徒会!?かっけー!」


あれ、俺普通に喋れてるじゃん。
今まで全然話しかけられなかったのに。


『灰羽くんはバレー部だよね。優生からよく話聞くよ』

「え、どんな話してんの!?」

『ん〜、レシーブ頑張ってるとか、先輩によく怒られてるとかかな…』


彼女はにこにこと笑いながら話してくれた。


「芝山、結構話してるんだな…」

『優生ね、バレー部が楽しいって言ってたから、色んな話してくれるよ』

「だから夏目さん、俺の名前…」



そうだ、あの時夏目さんは

『灰羽くんごめんね、邪魔しちゃって!』

知らないはずの俺の名前を呼んだ。



『灰羽くんはまあ、有名人だしね』

「俺有名人…!?」


彼女は笑って誤魔化し、なんでかは教えてくれなかった。


『灰羽くん、勉強は嫌い?』

「嫌い!じっと座ってるのがもうだめ!」

『そっか』


彼女はふふっと笑ってそう言った。なんでそんなことを聞いたのだろう?俺が1位なのって聞いたから?


『頑張らないとだね。勉強も、バレーボールも』

「お、おう!」




「じゃあ俺そろそろ帰るよ!」


俺は荷物を持って立ち上がった。あまり長居するのも良くないし、店番もしなきゃいけないし。


「また、学校で話しかけていい?」


そういうと彼女は少し驚いた顔をしたが、すぐに


『もちろん!』


と笑った。彼女の笑顔は大好きだ。


「じゃあな!」


それだけ言って彼女の部屋を出た。
お母さんにも挨拶し、家を出る。

俺はなんだか嬉しくて、家まで走って帰った。



ーー

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作者名:泡姫 | 作成日時:2021年9月8日 20時

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