〖TOP4〗Dearest.〖短編集〗

Full.[rtrt] ページ7

「Aちゃーん、うっしー達遅れてくるって！｣

「そうなの？じゃあ皆来てから作ろっか」

「じゃあ2人きりか…んへへ、嬉しい｣






最近、レトルトの様子がおかしい気がする。
距離が近いというか、私と居れるのが嬉しい、みたいなことをたくさん言うようになった。





私が大きなソファーの手すり側に座ればレトルトも続いて私のすぐ横に座って、幸せそうに笑う。






「あれ？Aちゃん、今日ネイルしてるね｣

「へっ？あ、うん！たまにはいいかなーって｣

「見せて見せて！｣





彼にネイルを見せようとすると彼の手が私の指に触れた。こんな感じでとにかく積極的に来るもんだから、私も意識しまくっている。
もしかしたら、私の事好きなのかな？なんて…






「…Aちゃん、顔赤い｣






ネイルに夢中になってたはずのレトルトが、私の顔を見ている。顔を隠すにも片手じゃ隠しきれないし、それを阻止するかのように両手をぎゅっと握られた。






「その、ちょっと、というかだいぶ照れるというか…」

「意識してくれてんの？｣

「あ、の…えっと…なんか最近積極的だね？｣





彼に触れる手が、指先がドクドクと脈打つのが分かる。
嬉しいはずなのに、甘酸っぱくて、胸がいっぱいいっぱいで逃げ出したくなる感覚になる。






意識してくれてるの？だなんて、聞かなくても見りゃわかるだろうに。







「あれ？俺、Aちゃんのこと好きだって言ってなかったっけ？｣

「初耳、です｣

「…言ったつもりだった」






レトルトの顔もジワジワと赤くなっていく。
ただでさえ恥ずかしいのに、彼の緊張も伝わっておかしくなりそうだ。







「でも、Aちゃんが返事くれるまでやめないから。俺しか考えられないようにしたいもん｣






もうとっくにレトルトでいっぱいだよ。
気づけば私は、吐き出すように彼にそっと口づけをしていた。

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