24話 ページ25
「い、いや、…ファンって…」
嘘だよ。だって、こんなに有名な人に？
自分のことを知ってもらえていることすら奇跡なのに。
「嘘じゃない、僕昔からあすちゃんのこと大好きで、…ちょっとまってね」
そう言ってまふくんが持ってきたのは、キラキラと飾られた星空が描かれている、あすたの1stアルバムだった。
「え…これ、私の、あすたの…」
未だに状況が掴めない。後ろにいるそらるさんは一瞬目を見開いたあと、呆れたようにやれやれと髪をくしゃっとした。
「あすたさん、俺もあすたさんの歌はほんとに好きだよ。でもこいつ…まふまふはあすたのこと大好きなんだよ、口開けばあすちゃんあすちゃんって、ほんとにうるさい。」
"それくらい、好きなんだよ"
「は…」
あまりのことに、開いた口が塞がらない。
目の前ではまふくんが私のアルバムを大事そうに抱え、"あすちゃんが僕の目の前に…"なんて呟いている。
いやいや、こっちの台詞ですよ…！？
目の前に"あの"まふまふさんとそらるさんが、いつも画面越しで歌を聴いて、近くてもライブで眺めるだけの遠い存在だった彼らが、今目の前にいるのだ。触れられるくらい、近くに。
「ま、まふくんっ…そらるさん、ありがとう、ございます」
そらるさんは何故か俯いて顔を隠しながら、おー…と一言。まふくんは、"ま、まふくんって…まふくんっ…"なんてごにょごにょ。
嬉しい。正直に言ってよかった。
「ね、あすちゃん？」
「はい、なんでしょうか」
「あすちゃんさ、自分じゃ分かってないみたいだけど、ワンマンでちょっとした会場なら埋まるくらいには有名だと思う。ファンも多いし、そりゃ少しはアンチだって出るかもしれないけど、炎上とか、そんなのは心配しなくて大丈夫だと思う。」
"僕らさ、僕らがあすちゃんと絡みたい、真冬とAちゃんじゃなくて、まふまふとあすたで話がしたいんだ。全部、僕らの意思"
…ああ、どうしてこんなにも、涙が止まらないんだろう
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なえ | 作成日時：2017年9月14日 17時
