22話 ページ23
高校3年の3月。卒業式の日。
上辺だけの友達との打ち上げなどには目もくれず、荷物をまとめてあの家を飛び出した。
それなりに頭のよかった私は、高校時代猛勉強をし特待生として音大に入学。
学費は免除された。
その後、必死に縋る思いでバイトを見つけ出し、なんとか採用。
最低限の節約で暮らした。
借りていたボロアパートから引っ越して、防音室付きの安い部屋へ移った。
中学に入る頃には"歌"に出会っていた。
ここなら、自分の気持ちをさらけ出せる。
そう思い"あすた"として色々な歌を投稿してきた。Twitterアカウントも作って、フォロワーも増えた。
音大を卒業した後、自分でも安定した職場が見つかった時は、本当に奇跡だと思った。
そして、今に至る。
我ながら壮絶な人生だったと思う。
おかげで今、大体のことは乗り越えられている。
けれど、結局私は、ここまで守り抜いてきた"あすた"の事しか考えていないのだ。
きっと母ならこう言う。正直に伝えなさい、と。
「そらるさん、まふくん」
「私、あすたっていう名前で歌い手してるんです。」
あすたのことなんか、知らなくてもいい。
どうか、私のこの気持ちだけは
「…でも、そらるさんとまふくんと仲良くなって、あすたのアンチが増えるのが怖い。私は、私の事しか考えてない、最低な人間です。」
お願い
「罵ってくれても、罵倒してくれても構わない。でも、…私は、そらるさん達と出会ったことを、今こうして話している事実を、
…なかったことにしたいと思ってます。」
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伝われ。
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過去編ぐちゃぐちゃと長くなってしまい申し訳ないですm(_ _)m
現在の状況忘れちゃったよーって方は16話を見ていただければ幸いです
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作者名:なえ | 作成日時:2017年9月14日 17時