君に贈る歌（緑） (ページ9)

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「んふ、騙されたーー！」

って、ニコニコ笑いながら言う

男の人は、もう立ち上がってて私はその人を見上げた

綺麗な、顔だった

金髪で、目尻をくしゃくしゃにして笑ってて、柔らかい雰囲気が出ていた

これは、イケメンだわ……

ボーッとしてたら、

「大丈夫？腰、抜けたん？笑」

ほら、って言いながら私に手を差し伸べて、素直にその手を借りて私も立ち上がった

そしたら、握り合ってた手を男の人が引っ張って、私は、抱きしめられた

…え？

「……Aちゃん……」

ほんとに小さな声で、男の人の声が耳元で聞こえた

ギューって苦しいくらい強く抱きしめられた

どうして、私の名前を知ってるの？

あなたは、誰？

男の人は私を離して、まっすぐな目をして言った

「Aちゃん、急でなんなんやけど、俺のことしばらく預かってくれへん？」

「……は？」

「俺、今家ないねん。
せやから、お願い！！！」

いや、お願いと言われましても……

なんで見ず知らずの男の人を私が預からなくちゃいけないの！！？

「Aちゃんの言うことはなんでも聞くで！
俺、掃除も洗濯も料理もできる！料理はめっちゃ得意やねん！」

自信満々に言ってるけど、

ちょっとそれは惹かれるものがあるけど…

「最近、仕事忙しくて家のことなんて気にしとれんのちゃう？ほら、俺のこと家政婦や思ってくれればええから！Aちゃんの食べたいもの作って、いい子で待っとるで？」

うう……。

なかなか痛いとこをついてくる……。

確かに最近、仕事が忙しくて家のことは出来てないし、夜ご飯もお惣菜が多くなってきた…