君に贈る歌（緑） (ページ15)

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浮かない気分で仕事を終えて、会社を出た

すると、私の前に信五くんが歩いてるのが見えた

「し、信五くん！！！！！」

もう今しか言うチャンスはないと思った

「A…！お前…今仕事終わったんか…」

「うん、そう。
ねえ、なんで最近私のこと避けるの？」

「べ、別に避けてなんかあらへんわ！」

嘘下手すぎ…

目が明らかに泳いでたし、

「信五くん…。私、信五くんと別れたい」

そう言ったら、信五くんはすごく驚いて、

「な、なんでやっっ！！？そんな突然！！」

「私、信五くんが中原さんとキスしてるとこ見ちゃったの。浮気してたんでしょ？
だから、別れよう。私、浮気を許せるほど心広くないから…」

信五くんは、びっくりして、だんだんと悲しい表情をした

「見とったんか…。
ほんま、俺最低やな……」

私にはもう、信五くんに対する気持ちはない

すっかり冷めてしまった

今はもう、信五くんよりも、

家に帰ったら待ってる、いつもマイペースでニコニコな、大倉がいるから

私はそれだけで幸せだ

十分心が満たされている

だからもう、信五くんに未練なんてない

「中原に誘惑されて、そっから数回関係をもった…。そのせいで、Aに対する罪悪感でいっぱいなって、お前と会われへんかった」

信五くんは申し訳なさそうに私に言った

「俺、Aのこと、ほんまに好きやったよ。
これだけは信じて。結婚してもいいって思っとったんや」

「じゃあ、どうして？
なんで浮気したの？！」

「それはお前………」