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あなたは 3 ページ39

「A・・・だよな?」

1度息を呑む声が聞こえた。俺の胸に柔らかい頬を押し付けて溜め息を吐いた。俺の背中のAの手は、溜め息とは反して抱き締める力が強くなった。

「だったらどうするの?」

メイクは崩れているけれど、スタイルの良さも美しさも変わらない。それに、俺のために泣いてくれたのがいじらしくてたまらない。

少し高圧的にもう一度「知って何になるの?」と尋ねた。

俺は「え?Aに合いたかったから」と続けようとすると、「やめて」と俺の口に背伸びをしてちゅ、と軽いキスをした。

「私、教えていいか分からないの。どう思う?」
俺に委ねるように、眉を下げて失笑した。

『出会う人は皆お客様で、お客様にとって船は思い出の1ページなの。私は船の上が人生だけど、お客様は違うでしょ?だって、何日かしかここに居ないんだもの。二度と会えないのよ』

温室の暗い深夜、豪華客船の中で、Aは悲しそうに言った。美しい顔をして、目を伏せて、でも、俺はその時からもう分かっている。

「なぁ、俺はお客様?」

「ええ、お客様よ」

「俺と二度と会えないの?」

ドアの前。鉄製のドアに俺は寄りかかって、抱き合ったまま俺にAは寄りかかっていた。そっと、顎を手で俺の目線に合わせる。目を逸らそうとする度に頬を手で包む。片手で事足りるのだ。

「・・・うん、会えないわ、貴方達がバルセロナで降りても、私はまた世界をまわるの」

「俺が気づいてても?」

「ねぇ、なんで分かるの?」

「ネイルとか声とか。言っとくけどさ俺はAのファンだからさ」

俺が笑って言うと、ふふと小さく嬉しそうに笑った。俺もなんだか嬉しくなって、頭をゆっくり撫でる。

Aは俺に余計強く抱き着いて

終焉 1→←あなたは 2



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作品ジャンル:恋愛
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るち(プロフ) - クレハさん» クレハ様。コメントありがとうございます!面白かったなんて凄く嬉しいです!コラボする話書きたいなぁとぼんやり思っていたので後々書きます!リクエストありがとうございました♪! (2019年5月18日 21時) (レス) id: e1f6fd326e (このIDを非表示/違反報告)
クレハ(プロフ) - 完結お疲れさまでした!とても面白かったです!!後日談で、実際に二人がコラボする話とか読んでみたいです!! (2019年5月18日 13時) (レス) id: de682292c0 (このIDを非表示/違反報告)
るち(プロフ) - ショコラさん» ショコラ様。コメントありがとうございます!凄く嬉しいです〜!修正箇所の訂正行いました!ご指摘もありがとうございます!更新頑張ります! (2019年5月8日 0時) (レス) id: e1f6fd326e (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - 作者様。とっっっても面白くて、一気に読んでしまいました//1つ気づいたのが運命深夜1の最後から2番目のあだ名の変換と運命深夜2の最後のあだ名が変換がちゃんと行われておらず、リリィさんになってました。分かりますかね…?これからも頑張ってください! (2019年5月7日 23時) (レス) id: eaf763dc98 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るち | 作成日時:2019年5月3日 17時

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