#228【役目】 ページ38
コブside
有馬に殺られる瞬間、もうダメかと諦めていたが見えぬ何かに後ろ首を引っ張られた。チビ兎を見ても遠くにいて、オレの事を気にする余裕も無かった。
前にラクさんが言ってたあの世があるならラクさんがオレを助けたのか。・・・いや、あの人は認めていなかった。
「“野狐”はあの時仕留めたはずだが・・・まだ居るのか」
「あァ?ラクさんを殺したのはテメーだろーが」
さっきからオレの後ろをねちっこく狙いやがる。後ろには何もねェラクさんみてーに隠し事は出来ねー。
「そうか」
そっからヤツは何も喋らなくなった。有馬一人なら逃げれるか?
「チビ兎ィ!生きてっか?!」
「生きてるよ!」
「そのクインケ寄越せ!!」
チビ兎に投げる力はねーし、届く自信がねーからか鱗赫でクインケを巻き付けオレに寄越そうとするが有馬の方がはえー。
くそッ!有馬より早く!有馬がラクさんが名付けたクインケ「アゲイン」を破壊しようとするとどこかでパキリと音がした。
《バリーン!!!》
「っ!!」
「うお!」
ガラスの割れた音が近くで鳴り、本能で身を引くとオレと有馬の間に見覚えのある赫子が地面を叩いた。
「ラク・・・ちゃん?」
「ラクさん・・・」
何も無い場所からラクさんの尾赫が出てきた。どういう事だ?
「やはり死んでいないのか?流石“野狐”だな」
ゆらゆらと
しかもまた何も無い場所から尾赫が出てきた。
「チビ兎!逃げんぞ!」
周りを見ても生きているヤツはいねー。柳下はクインケがねーから追い掛けては来ないはずだ。
これからどうすりゃいい?ラクさんのクインケは壊した。2区の“喰種”は全滅した。
なら、オレの役目は終わったんじゃねーか。
「コブちゃん?」
オレのやる事はなくなった。
「コブちゃん!」
「お前はまだやる事あんだろ」
描けよ、ラクさんの絵がまだ終わってねーだろ。
あの人より満足する“喰種”なんていない気がして、オレは生きる気力がねえ。
せめて、ラクさんが喜ぶ土産話を持っていこう。
「じゃーな、コウ
先に逝ってるぜ」
「コブちゃん!待って!!ねぇ!!」
遠くで化け狐がオレを見ている。兎みてーなひ弱な“喰種”を頼んだぜ。
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水無月(プロフ) - 乾さん» 今更になってしまいますがありがとうございます!一時期題名が落ち着かない時がありましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2018年8月10日 23時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
乾 - 完結おめでとうございます!!この作品は、名前が何度か変わっていましたがそんな連載当時から好きでした。素敵な作品をありがとうございました (2018年7月2日 18時) (レス) id: de2fb18392 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 瑠伊さん» ありがとうございます!素敵と言ってもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 慶さん» ありがとうございます!面白いと感じてもらえてとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - 宮野 ミヤさん» ありがとうございます!気に入ってもらえとても嬉しいです!! (2018年4月24日 19時) (レス) id: 07c7ef19ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水無月 | 作成日時:2017年12月27日 18時