短編集め 2

放課後の赤い糸 (美彩忍) ★ ページ17

(rhyme 様 「浜田での学校生活」ありがとうございました！)




暖かな陽射しが教室を包む午後の時間。


こらえきれない欠伸をかみしめる。


席替えして、今度は窓際の1番後ろの席になったから、先生の視線もあまり届かない。


こんなポカポカ日和に国語の授業なんて、嫌でも睡魔が襲ってくる。


眠気を殺すようにノートをいつも以上に書いていると、隣の席の忍が腕をトントン、と叩いてきた。


どうしたの、と小声で聞くと、


「なあ、あれって何やってんの」

と言いながら斜めの方向を指さした。


忍の指の先を見てみると、女の子たちが先生に隠れて手紙の交換をしていた。


「手紙の交換だよ」


忍に小声で答えると、忍はふうん、と言って頬杖をついた。


私も黒板の方を向く。


しばらくすると、視界の端でごそごそ動くのが見えた。


忍、授業中にどうしたんだろう。


ちょっとだけ視線を動かすと、忍は机に紙コップを並べ、赤い糸をはさみで切っていた。

はっ！？


思わずガン見する私の目線を無視して、忍はテープを取り出して切ったり貼ったり。


忍の不可解な動きが止まると同時に、チャイムも鳴った。


「じゃあこれで終わりにします」


最後の方はほとんど聞いてないのに…


「よし、できた」


落ち込む私とは反対に嬉しそうに笑う忍。


その後ホームルームが終わり、皆ガタガタと音を立てて机から離れていく。


人があまりいなくなったチャンスに忍に聞いてみる。


「ねえ、何作ってたの？」


忍はニコニコ笑って答えた。


「糸電話」


予想外の答えに、ポカンとする私。


「手紙のやり取りって、書くのめんどくさいだろ。教室じゃ鳩飛ばせないし。でも糸電話ならしゃべるだけでいいから」


そう言ってはい、と渡される紙コップ。


「そっち行って糸を張って」


言われるままに移動する。


「よし、じゃあ何かしゃべって」

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