◇ ″君の虜． (ページ12)

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“ ﾋｻﾋﾞｻﾆ ” ページ12

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◆Your side

その日勤務時間が終わると、早く１人になりたくて急いで家に帰った。

部屋に入ると、そのままベッドにダイブして、ふと天井を見つめる。

と、先程までの記憶が蘇ってくる。

.

……怖かった、北山さんが。

男性恐怖症になるんじゃないかってぐらい…

明日も北山さん来るのかな…

やだ、怖い……

今は顔合わせたくない……

．

私は動く気力もなく、そのまま眠りについた。

.

．

ふと、頭の痛みで目が覚める。

あれ、昨日… あぁ、そのまま寝ちゃったんだ…

それより、なんか頭痛い…

念のため体温を計ると、見事に嫌な予感は的中。

38.4度…

滅多に体調崩したりしないのに…

そう思いながらも藤ヶ谷さんに休みの連絡を入れ、再び眠りについた。

.

(ﾋﾟﾛﾘﾝ♪)

携帯から着信音。

携帯の画面を見ると、ちょうどお昼を回ったくらいの時刻。

通知を見ると、知らない番号から着信が入っていた。

ん、……誰だろう、？

着信履歴から通話ボタンを押し、

purururururu…

「……もしもし、？」

『あ、A？
裕太だけど… 、ガヤから今日休みって聞いて心配で… 』

通話の相手は玉森さんだった。

「そんな、全然大丈夫…… ｺﾎｯｺﾎｯ、、」

心配かけたくなかったのに寝起きで喉が渇いているせいなのか、咳き込んでしまう。

『大丈夫じゃなさそうだけど…？』

「気にしないで下さい…っ、」

『ねぇ……Aの家って、どのへん？』

「へ…？」

『なんか買ってくから、』

「いや、そんな…いいですっ、」

『俺が行きたいからさ……それでもダメ？』

そんなこと言われたら断れないよ……

私は玉森さんの押しに負け、住所を伝えてしまった。