Don’t let me fall in love! (Ar×In) (ページ9)

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side K.I

「わ、意外と綺麗……」

ちょっと高そうなマンションの9階にだいちゃんの部屋はある。

普通の会社員でもこんなとこ住めるんだなぁ。
おれとは、ぜんぜん違う。

「いのちゃん、なに飲む？俺、勝手に決めていい？」

「ん、おねがい。……って、だいちゃん家お酒多くない？」

ちらりと見た冷蔵庫の中には、いろんな色の、大小さまざまなお酒のボトルが入っている。

「え、あぁ。最近ね、いろんなお酒集めるのに凝ってんの。意外と楽しくて、」

「へぇ……だいちゃんも大人になったんだねぇ、」

「ふふ、でしょでしょ？」

楽しそうにお酒をグラスに注ぎながらだいちゃんが笑う。

変わっていくだいちゃんと同じスピードで、おれは進めているのかな。

「はい、どーぞ。」

目の前に置かれたお酒はだいちゃんの好きな橙色で、なんだか強いアルコールの香りがした。

「これ、強いお酒？おれ、あんまりお酒強くないんだけど……、」

「ん？ちょっと香りが強いだけで、普通のお酒だよ。ほら、乾杯しよ！」

かんぱーい！

明るい声が二人だけの室内に響いて、だいちゃんがぐっとお酒を煽った。

おれも一口飲むと、強い香りとは違った爽やかな口当たりで、ぐんぐんお酒が進む。

だいちゃん家に来たのがちょうど8時ぐらい。話が弾んで11時を回るころには、おれは相当できあがってた。

「いのちゃん、ほんとお酒弱いんだねぇ。もう真っ赤だよ？」

「んなことないよぉ、まだまだいける。」

「そー？ならいいけど、」

ほら、もっとセーブしとけばよかったのに。

そのときのおれには、だいちゃん妖しい笑顔がぼやけて、君の企んでることなんてなにひとつわからなかった。