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「だいちゃん、起きて。」
声をかけると、目を瞑っていただけだったのかなんなのか、だいちゃんはすぐに起きた。
「いのちゃん…もう終わった? 帰る?」
「うん。あの、ありがと、わざわざ待っててくれて。」
その日のだいちゃんは、なぜだか少し疲れてるように見えたから。
思わず感謝の言葉を口走ってしまった。
そんな俺を見ただいちゃんは目を見開いてから、柔らかく笑った。
「わぉ、いのちゃん珍しく素直じゃん。」
ほら、なんかおかしい。
いつもなら、もっとがつがつっていうか、「やっと俺のありがたみがわかった?」とか言って笑い飛ばす5歳児はどこに行っちゃったの?
「さ、帰るよ。……ほら、」
「う、うん。」
急にからめられた指先に驚く暇もなく、だいちゃんはお店の外へ。最近、毎日歩いているおれの家への道を進んでいく。
……あぁ、なんで。
今日に限って無口なだいちゃんのせいで、繋いだ手に神経が集中する。ばかばか、26歳になって友達と手繋ぐのに緊張とか。
「だ、いちゃん、手大きくなったね、?」
またまた思わず変なことを口走り。
だいちゃんはいつになく、がらになく優しく笑う。
「ま、男だからね。
……いのちゃんは、綺麗になったよ。誰にも渡したくなくなるぐらいに。」
「へ、あ、ありがと、?」
「ふふ、どーいたしまして。……あ、着いたよ。」
繋いだ手を離された寂しさか。
気まぐれだって言われるおれのせいか。
「だいちゃん、あの、……上がってく?」
目をそらして呟くと、視界のすみに息を飲むだいちゃんが見えた。
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作者名:鎖空 | 作成日時:2017年6月28日 21時