38.泣き方を忘れていく ページ40
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そんな事を考えてる内に、頭の中がゴチャゴチャしてきた。
視界も朦朧としてきて、神威団長がぼやっとしか映らない。
「A? 大丈夫?」
「だい、じょうぶです__」
そのまま意識が飛んだ。最後に聞こえたのは、神威団長が私の名前を呼ぶ声。
◇
怪我している所と、過去の傷が重なってしまったのか、昔の記憶が蘇ってきた。
周りに居る人間。夜兎は希少なのか二人程しか居なかったのを覚えている。
一人一人、一つの檻の中へと閉じこめられていて、みんな毎日恐怖に怯えていた。
「飯の時間だ」
遠くから聞こえるのは、看守の声だろう。
私は一番奥に居たので、遠くの方は見えていない。冷たい地面に座り込んで、ぼーっとしている。
ぼーっとしているのは、考えたくないのではなく、考えられないのだ。
「さて、次はお前だ」
私は相手を睨み付けて、言葉は発しない。それは相手の癇に障ってしまったのだろう、思い切り警棒のようなもので、頭を殴られる。
そのまま、足がグラついて地面に倒れ込んでしまう。相手は二十代位の男の人、あまりにも力は強すぎる。
しかし、そんな時目の前に現れるのは、いつも兄だった。
兄は出ていけと看守に言うと、手袋をはめて、布を私の口へと持ってきて、そこからは苦痛の時間。
白い肌に、わかりやすく傷つく。赤く腫れたがった傷に触れては、泣き方もわからなくなっていく。
どうしたら、この記憶を消し去れるのだろうか。
◇
ゆっくりと目を覚ますと、フカフカとした感触。自室のベットだと気付くのに、数秒以上掛かった。
ふと、目の前をよく見ると、チャイナ服が目に入ってくる。
それを辿っていくと、眠りについてる神威団長の顔が現れた。
声にでないくらい驚いたが、一旦落ち着く。目の前の神威団長を起こしたら悪い。
そっと起き上がり、神威団長の顔を見ていた。
なんだか、これだけで幸せだ。触れれなくても、手をつないだり出来なくても、そばに居るというのを目の前で見れるだけで。
いつになったら私は未練を捨てれるのだろうか。苦しさに足掻きながら、恋心を隠して。
でも、そんなに簡単じゃない気がする。
現に、もう何年も断ち切れていないのだから。
私は神威団長にマントを掛けて、書類、というよりは今日の報告書を書き始めた。
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朔弥(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとう御座います。小説を執筆している側からすると、楽しく読んで頂けてるのが何よりの救いです。更新頑張らさせて頂きます! (2017年1月17日 3時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2017年1月16日 18時) (レス) id: b0d29e3892 (このIDを非表示/違反報告)
朔弥(プロフ) - 真由さん» コメントありがとう御座います。オチはまだ決まっておりませんが、神威か高杉のどちらかなのは、確定しております。更新頑張りたいと思います。温かい目で見守って頂けたら光栄で御座います。 (2017年1月15日 11時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
真由 - いきなりですみません。この小説は誰オチでしょうか?気になってしまって更新頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2017年1月15日 10時) (レス) id: efeb5e493c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔弥 | 作成日時:2017年1月12日 1時