26.培ったのは人の為に ページ28
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「ご、め、ごめんなさい。ホントにごめんなさい……」
助けてくれた人。私の恩人である人の手を弾くなんて、あってはならない。
「……こっちこそごめんね。服、置いておくから。お風呂は、この部屋を出て左を真っ直ぐ行くと、わかると思う。団員達は、そっちに誰一人として居ないから安心してね」
笑顔が変わらなかった。一瞬驚いた表情から、またすぐに笑顔に戻って、私に背を向ける。
私は、震える足を押し殺して。立ち上がって男の人を呼び止めた。
「あの……ごめんなさい」
「俺は君のごめんなさい、より、ありがとうの方が嬉しいな」
「えっ……」
私はギュッと服を握りしめて、口を開く。
「ありがとう御座います」
「どう致しまして。お風呂ゆっくり入りなよ?」
バタンと閉まったドアをみつめて、私は頭を下げた。
持ってきてもらった服を見ると、真っ黒なチャイナ服だ。
私はそれを持って、お風呂へと向かってみた。
◇
体と髪を洗い、服も着替えてもう一度あの部屋へと戻る。
『A、開けてもいい?』
「は、はい!」
男の人は私に近づいてくると、じーっと見て言葉を発した。
「綺麗になったね。あとで目が見えるように、前髪切った方がいいかもしれないね」
「そう、なんですか?」
「うん、見えた方が綺麗だと思うよ」
綺麗……? 景色が綺麗に見えるのだろうか。あとで、自分で切ってみよう。
「質問、いいかな?」
「はい……」
「戦える?」
「普通の……女の子よりは戦えます」
男の人は、部屋の中にある椅子に座って、私の目をじっと見て口を開いた。
「俺の、補佐にならない? そばに居てくれればそれでいいから」
「補佐……ですか?」
こんな私が、この様な人の補佐が出来るのだろうか。
「もう、あの檻には戻らなくてもいい。俺の隣で、俺のそばで補佐をしてくれないかな」
この人の為に、この人の隣で、共に戦えるのなら、培った刀裁きも、戦い方も、全てこの第七師団という所に、この人の為に捧げよう。
「やりたいです。お願いします」
「ありがと、俺は神威だよ。よろしくね?」
団長という一番上の人らしい。神威団長は、ニコリと笑って手を差し出してきたので、私はその手に、自らの手を近付けて、握手を交わした。
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革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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西 - この方角に福があるはずです
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朔弥(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとう御座います。小説を執筆している側からすると、楽しく読んで頂けてるのが何よりの救いです。更新頑張らさせて頂きます! (2017年1月17日 3時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2017年1月16日 18時) (レス) id: b0d29e3892 (このIDを非表示/違反報告)
朔弥(プロフ) - 真由さん» コメントありがとう御座います。オチはまだ決まっておりませんが、神威か高杉のどちらかなのは、確定しております。更新頑張りたいと思います。温かい目で見守って頂けたら光栄で御座います。 (2017年1月15日 11時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
真由 - いきなりですみません。この小説は誰オチでしょうか?気になってしまって更新頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2017年1月15日 10時) (レス) id: efeb5e493c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔弥 | 作成日時:2017年1月12日 1時