12.後悔をも消え去れば ページ14
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流石に屋台が出ている場所は明るく、顔がわかりやすいので危ない。
高杉さんはそんな私を見て笑った。
「欲のねぇ奴だ」
そう言う高杉さんは付いて来いと、言わんばかりに歩き始める。
その後をついて行くと、真っ暗な所で人々が大勢集まっていた。
ここが、花火の会場なのだろう。
少し人より離れているが、花火は見えるのでここからでも十分だ。
花火があがる十秒前。
ふと目の前の人影が視界に入った。
特徴的なシルエット。神威団長と華音さんだ。
ガヤガヤとする中でスローモーションで流れる。近付く目の前の恋人同士を見たくない。
花火があがる五秒前。
二人は何かを話している。二人の顔が近づいて、見たくないのに、顔を伏せれば高杉さんにおかしく思われる。
空を見ていればいいものの、イヤなことに視界に入ってきてしまう。
花火があがった一秒後。
二人の陰は重なった。花火に照らされる二人の陰は、寄り添ったままになって。
それから、それから……。
その後私はただただ空を眺めて、目の前の恋人同士を視界に入れることはなかった。
ただ一つ。
来なければ良かった。
来なければ見なくても良かったのに。
「A、聞いてるのか」
「えっ、お、終わりましたね花火。帰りましょうか」
高杉さんに申し訳ない。せっかく誘ってくれたのに、こんな気持ちで隣に居るなんて。
せめて……なにか無いだろうか。
「帰るぞ」
「うぇ、ちょ、高杉さん」
突然手を引っ張られて歩き出す。遠くに黒い服が見えた、確かあれは真選組。そうか、あれをみて帰ろうとしたのか。
夏祭りとなると、見廻りも多くなるのだろう。船の前で高杉さんは手を離した。
「あの、高杉さん何か……」
「楽しかったぜお前との祭」
高杉さんは微かに笑みを向けてくれた。怒ってはなさそうだ。
「こちらこそ、付き合って頂いてありがたかったです」
「ククッ……仕事、やりすぎるなよ?」
そう言って高杉さんは去っていった。見透かされたように仕事のことを。
疲れていたの、顔にでていたのだろうか。
◇
自室でやり残していた仕事をしていた時、ガチャリとノックもせずに入ってきたのは華音さん。
シャランという音を立てたのは、華音さんの髪に飾られた簪の音。
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朔弥(プロフ) - ゆめさん» コメントありがとう御座います。小説を執筆している側からすると、楽しく読んで頂けてるのが何よりの救いです。更新頑張らさせて頂きます! (2017年1月17日 3時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 楽しく読ませてもらってます。更新頑張ってください! (2017年1月16日 18時) (レス) id: b0d29e3892 (このIDを非表示/違反報告)
朔弥(プロフ) - 真由さん» コメントありがとう御座います。オチはまだ決まっておりませんが、神威か高杉のどちらかなのは、確定しております。更新頑張りたいと思います。温かい目で見守って頂けたら光栄で御座います。 (2017年1月15日 11時) (レス) id: 114889d6f1 (このIDを非表示/違反報告)
真由 - いきなりですみません。この小説は誰オチでしょうか?気になってしまって更新頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2017年1月15日 10時) (レス) id: efeb5e493c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔弥 | 作成日時:2017年1月12日 1時