冒険の傷痕:12 ページ14
私の言葉にカミュは暫くきょとんとしていたが、少しして再び私の頭に手を置き、額を親指で撫でた。
「…カミュ、」
「お前に何があったか分からねぇが、あまり無理はするなよ」
──オレ達は仲間なんだから。
あやす様に親指を撫で付けながら、カミュは酷く優しい声色でそう呟いた。
…そんな顔で、そんな声で、そんな目で、そんな温かさで、そんな優しさで。
私を、包み込んでくるなんて。
とても眩しく思えて、思わず目を逸らした。
「…いつかオレの事も話してやるから、お前の事も聞かせてくれよ、A」
「……うん」
あぁ、この人は、
私がずっと救いたかった人に、
会いたかった人に、
触れたかった人に、
とても似ている。
…ごめんなさい。
勝手に貴方とお兄ちゃんを重ねてしまって。
ふわりとカミュの体温が遠のく。
「…じゃあまた後でな。しっかり寝るんだぞ」
ごめんね、
きっと、今寝たらまた悪い夢を見そうだから。
だからどうか、
「待って、カミュ」
「…A?」
慌ててカミュの服の裾を掴む。頭にはてなを浮かべてカミュは振り向いた。
「もう少し、私と話をしてくれないかな、」
…私は、救われたいのかもしれない。
この人を守ることで、
赦されたいと、思っているのかもしれない。
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千織(プロフ) - チロル/CHIROLさん» チロルさん、初めまして!有難いコメント、とても嬉しいです…!これからも精進していくので、見守って頂けたらと思います! (2018年11月3日 7時) (レス) id: 43a89afe6e (このIDを非表示/違反報告)
チロル/CHIROL - はじめまして!ドラクエファンなので、ドラクエの夢小説を書く人がいるのか!と驚き拝見させていただきました!掴みにくい世界感を表現されていて千織さんはすごいと思いました!これからもがんばってください! (2018年11月2日 22時) (レス) id: f7aec74604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千織 | 作成日時:2018年10月29日 20時