83.混乱 ページ35
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ああ、やっぱりトレーニングルームか。
國神さんはトレーニングルームの主って呼ばれてるし、最初からそこ行けばよかったかも。
『ありがとうございます、玲王さん!早速行ってきますね』
「_____って言いたいところなんだけど」
私がトレーニングルームへと向かおうとすると、玲王さんがポツリと呟いた。
"言いたいところ"…?
私は言葉の意味がわからなくて、その場に立ち尽くした。
『玲王、さん…どういうことですか?』
そう聞き返した。
私と玲王さんしかいないフィールドに、沈黙が訪れる。
何故だか冷や汗が出てきて、嫌な考えが脳裏をよぎる。
____國神さんが、そんなわけないよね__
でも、玲王さんの口から放たれる言葉は、私の嫌な_____望まない可能性だった。
「國神は、士道に負けて脱落したよ」
『っ___!!』
たったの一言だけでも、私の心には大きな衝撃で。
でも、なんでこんなにショックを受けているのかもわからない。
だって、
國神さんだけじゃない。
他にも、脱落した人はたくさんいて…その度に私は彼らを見送って行って。
"そういう場所"だって、わかってるのに。
どうして、國神さんだけにショックを受けて悲しんでるの?
『…ごめんなさい、玲王さん。教えてくれてありがとうございます。トレーニング、頑張ってくださいね』
私はこの空気に耐えられなくて、無理矢理話を切り上げた。
何か、玲王さんが言っていたような気がするけど、私はフィールドから出た。
廊下に立ち尽くして、私は唇をギュッと噛み締めた。
_____まだ、いるかもしれない。
もしかしたら。間に合わないかもしれないけど。
行ってみるだけ、損はない。
私は、2ndステージのフィールドへと走って行った。
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作者名:ヒカル | 作成日時:2023年1月22日 15時