78.心の死 ページ30
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「コイツのこと、殴ったまま放っておいたんだろ?それで怪我させた。これは立派な裏切り行為だ」
それで、全てが繋がった。
あのとき殴った奴が原因で、私は裏切り行為をしてしまった。
『そ、それは…コイツが、殴りかかってきたから…』
「は?言い訳する気?」
何も、言い返せなかった。
かけられている圧で押しつぶされちゃいそうだ。
そして何より、何百人もの前でこんな姿を晒していることが恥ずかしかった。
「てことで今日からお前、クビね」
『…!』
その日から、私の人生に二度目の狂いが生じた。
次の日、学校へ行くと、下駄箱にはたくさんの画鋲が置かれていた。
教室へ入れば冷たい目線が送られ、クラスメイトはよそよそしかった。
それからというもの、私への"いじめ"が始まった。
画鋲から始まり、物隠し、机や黒板に悪口の落書き、暴言、暴力、水をかけられるとか。
日に日にエスカレートしていって、終いには、ピアッサーで無理矢理ピアス穴を開けられた。
全部で6ヶ所。
元から2か所開けてたから、私の耳は穴だらけになった。
その時、ずっと思っていたことがあった。
ここで折れたら、ダメだ。
ここで耐えれば、また沙羅に認められるかもしれない。
頑張らなきゃ。気、張らなきゃ。
そうじゃなきゃ、置いてかれちゃうし。
ずっと気を張ってなきゃ、アイツには_____沙羅と雅楽には追いつけないから。
そう思っていた。
そんなある日、私が最後にした抗争の敵メンバーが訪ねてきた。
そして、真相を、話してきたんだ。
沙羅と雅楽は私が気に入らないから、わざと裏切り行為をさせるように仕向けたんだって。
それをするためにわざわざ、服の感じが似ているチームに喧嘩を売りに行って、抗争になるようにした。
敵チームの総長と沙羅達が話してるのを見たんだって。
つまりまとめると、沙羅達は私のことが嫌いで、気に入らないから、自然な流れで裏切ってくれるように、わざと彼らに頼んだわけだ。
じゃあ、どっちにしろ、あの抗争に出た時点でこうなることは確定してたんだ。
居場所を作るって、ずっと一緒だって、言ってくれたのに。
裏切ったのは、そっちじゃんか。
そう気付いた瞬間、既に私の心は死んでいた。
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作者名:ヒカル | 作成日時:2023年1月22日 15時