64.発熱 ページ16
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『え_____』
リュックを背負った瞬間、私は膝から崩れ落ちていった。
でも、そこを玲王さんに受け止めてもらい、幸いにも転んだりはしなかった。
「おいA、どうした!?」
「大丈夫か!」
國神さんも駆けつけて来てくれた。
私はそのまま、足の力が入らずに床へと座り込んだ。
…なんで…足の力が、入らない…!
めまいや頭痛もしてきて、気持ち悪くなってくる。
そのとき、"ああ、またこれか"って感じた。
これは、中3あたりからずっと続いていたものだった。
私の今の症状は、病原体がいる熱じゃなくて、ストレスやトラウマが引き起こす熱なんだ。
「お前…熱出てるぞ」
「本当だな…とりあえず寝かせよう」
「ああ。俺コイツの部屋知ってるから、運ぶぞ。玲王はこのリュック頼んでもいいか?」
「わかった」
私は倦怠感を覚え、体が全く動かなかったので、國神さんに抱っこしてもらった。
…お姫様抱っこだったのは、触れないでおこう。
それにしても、筋肉質だな…カッコいい。
でも扱うのは優しくて、國神さん、普通にモテそう…
朧げな思考で、そんなことを考えていた。
でもやっぱりツラい…視界がボヤける…眠い…頭痛いし、クラクラするし、あっつい…ホント最悪…
私は睡魔に耐えられず、國神さんに抱っこされたまま眠った。
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作者名:ヒカル | 作成日時:2023年1月22日 15時