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『あー…頭いて…』
少尉と喧嘩して店を出た後、苛々を吹っ飛ばすために夜通し飲んでたせいだ
酒の抜け切ってない頭でフラフラしながら浮腫んだ顔に化粧を施す
筆を持つ手が震える
眉墨寄れるぅ〜…
思わず小春の名前を呼びそうになった
久々に東京に帰ってきたからひと目見たいなぁ…
髪が短いからと、中尉からの荷物に入っていた女性用のつけ毛を着ける
近くで見てもまったく偽物だと気づかない程質が良い
1人で身支度するのももうすっかり慣れたもんだ
最後に留学時代に使っていた香水を一振し、すっかり陽の落ちた外で待つ馬車へ向かう
ロビーへ続く階段を降りれば、同じホテルに宿泊していた客人がポーっと私に見蕩れているのが見えた
ふっと微笑めば、頬を桃色に染める紳士達
あーこれこれ…
最近男に紛れて泥臭くなって忘れてたけど私結構いい女だった…
ああ〜今最高に女冥利に尽きてるわ〜
そんな幸せな気分もすぐに終わりを迎える
『げ…鯉登少尉…』
腕を組んで馬車に寄り掛かる姿は、悔しいけど様になってる
下ろしたてのスーツは少尉の鍛え上げられた身体に綺麗にフィットしているし、後ろに流した髪も上品で私好みだ
本当に本当に悔しいけど…全部似合ってる
なるほどね、鶴見中尉が鯉登少尉と私をこの作戦に任命した理由がやっと分かった
『少尉殿、お待たせして申し訳ありません』
「遅いぞ北里！！半刻も待たせ…おって…」
私の姿を見た途端、語尾がどんどん弱くなり仕舞いには目を見開いたまま固まってしまった
『…あの、少尉殿？』
「キエエエエエ！！貴様な、なっななななな…」
『うるさっ！』
少尉が素っ頓狂な叫び声を上げ、後ろに大きく仰け反った
キエエエ？
ナナナ？
何語？
あうあうと口を動かす少尉
『どうしたんです…？』
私のあまりの美しさに驚いてんのか？
「き、貴様なんだその、む、むむ…むー！むー…！」
ム？
ムー？
竹筒銜えた鬼の妹みたいな声を上げ出す始末だ
「そ、そそその胸はなんだっ…！？！？！？」
『はあ？』
気づけば少尉は私の胸元を凝視しているではないか
確かにドレスの造り的に胸元が多少開いてるけど…
少し谷間が覗ける程度で、夜遊び好きな華族のお嬢様方はもっと胸元が開いてるドレスを身に纏っている
なにこの反応…まさか女性に慣れてないの？その見た目で？
『あー胸筋ですよ胸筋。あと布詰めてます』
「きょ、胸筋！？」
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禀(プロフ) - 今読んだけど、超神作。更新頑張ってください！！ (2月19日 6時) (
レス) id: 71390a603d (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - まさかの更新停止;_; (2022年7月7日 15時) (レス) @page9 id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
迷彩ミント(プロフ) - 鯉登少尉めっちゃ可愛いです！更新頑張ってください！ (2021年12月23日 0時) (レス) @page9 id: db841188ef (このIDを非表示/違反報告)
推し尊い(プロフ) - 鯉登ちゃん可愛いぃっっ (2021年11月7日 16時) (レス) @page9 id: 83b850b061 (このIDを非表示/違反報告)
篠宮輝夜(プロフ) - とても面白いです!!鯉登さんの突っかかり方がツボに入ってしまって…更新頑張ってください! (2021年9月24日 20時) (レス) id: 2fc8f791c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年9月13日 3時
