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寧一郎の部隊の話はとても面白くて、とても濃い日々を送っていたことが分かった
すっかり笑い疲れた頃、空が薄らと白んでいた
「やっとあの方の元で活躍できるんだ…」
軍隊だなんて、そんな野蛮なもの…なんて思っていた時期もあったけど当の本人が楽しいならそれで良い
素直に応援したいと思えた
希望でキラキラと輝く瞳がやけに眩しくて
私はゆっくりと目を閉じ、寧一郎よりも先に眠りについてしまったんだ
「…ま……さい……お…様！…お嬢様！起きてください！！！」
次に目を開けた時には、隣にはもう寧一郎の姿はなく
部屋の中には朝日が差し込んでいた
顔面蒼白の小春が私を揺さぶる
嫌な予感がした
『嘘だ…』
ベッドに横たわっているのは数時間前まで語り合っていた私の大切な、大切な
『寧一郎……』
頭部には包帯が巻かれ、唇には血の気がなくまるで死人のようだ
でも、確かに
確かに、彼だ
寧一郎だ…
「今朝方、掃除係の者が見付け…」
「頭を強く打っておられ…＿＿＿いつ意識が戻るか…」
耳鳴りがする
使用人の声も、泣き叫んでいるはずの母様の声も聞こえない
世界が灰色になって、ぐらりと揺れる
あれから1週間経った
寧一郎は目覚めない
私の部屋からの帰り道、階段を踏み外して頭を強く打って意識不明の重体らしい
抜け殻のように過ごす日々
あの日から寧一郎の顔を見に行っていない
母様と父様は使用人と一緒に交代で診ているけれど
私には無理だった
あの夜の寧一郎の笑顔を思い出すと胸が痛くて張り裂けそうだ
あんなに楽しそうに未来を語っていたのに
あんなに部隊に戻るのを楽しみにしていたのに
それが叶わないかもしれない…
自分の事のように悔しくて、辛くて堪らない
気が付けば私は中庭にいて、足元の地面を眺めていた
吐いた息が白い
朱色のレンガの上に寧一郎の部屋から差す光が伸びている
今も誰か傍で看病しているのだろう
それなのに…
私、逃げてばかりでなにをしているの
なんのために留学してまで医学を学んだの
愛する人の役にも立てないなんて…
あの日の夜、私の部屋に呼ばずに私が寧一郎の部屋に行っていればこんなことにならなかったのに…
せめて私が代わりになれたら…
身代わりに…
…あれ？
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
