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「A、英国留学は楽しかった？」
隣に座る寧一郎が私に微笑みかける
『ええ、とっても！話したいことが多すぎて困るぐらい！』
そう言うと寧一郎は「はは、一晩中語り尽くせそうだね」と軽やかに笑い、手元の紅茶に口をつける
流れるような上品な所作は老若男女問わず、見蕩れてしまうほど美しい
寧一郎は私の双子の弟だ
大切な、私のたった1人の姉弟
幼い頃、私達はそれはそれは瓜二つで、あまりのそっくりさに母様でさえ見分けるのが困難な程だった
病弱で大人しい弟とは違い、活発で使用人からは暴れん坊将軍と呼ばれていた私
正反対にも見える2人だけど
意外にも気は合うのだ
何をするにも一緒だったしお互い悪戯も好きだった
寧一郎が風邪で寝込んだ日は、面会禁止にされていたにも関わらず、窓からこっそり侵入し、中庭で捕まえたキレイな蝶々をプレゼントしていたのが懐かしい
15になった頃、寧一郎は突然軍人になりたいと言い出した
病弱なせいか、猛々しい軍人に憧れていたのだろう
母様の反対も押し切り、士官学校へと入学したのだ
勉学に秀でている寧一郎は、当然父様の跡を継いで医者になると思っていたため、その決断に誰もが驚いた
当時、テキトーな女学院でテキトーにヘラヘラ遊んでいた私は大焦り
焦りに焦って得た決断は
私が父様を継ぐぜ！！
の一択だけだった
そのためにも海外で医学を学びたい！と父様に告げれば、父様はヨヨヨ…と泣いていた。乙女か
17になった頃、ごきげんよう〜などとヘラついた女学院を飛び出し海を越え、単身英国の地へ降り立ったのである
寧一郎は士官学校を卒業後、直ぐに陸軍第七師団で准尉という位を得て北海道で猛進していた
『そんなにその、ツルミ中尉はすごい殿なの？』
「ああ！あの方に一生ついて行くって決めたよ！しかも…」
夜も深け、屋敷も静まり返った頃
私達は、幼い子供のようにベッドで寝転がり
会えなかった時間の隙間を埋めるように語り合っていた
どうやら我が弟は同じ部隊の上官、ツルミ中尉殿にゾッコンらしい
こんなに何かに熱中する寧一郎を見るのは初めてで
おいおい大丈夫か？と引きかける
「Aもいつか会えばわかるよ、いや！ぜひ会ってほしい！」
…まあ、本人が嬉しそうならいっか
それに留学中も寧一郎の頑張りは私の耳にも届いていた
実家から送られてくる手紙の内容は寧一郎の近況ばかりだったから
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芝(プロフ) - 鮭マヨさん» コメントありがとうございます。とても励みになります…(;_;)これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年9月13日 1時) (
レス) id: ac408ee6ee (このIDを非表示/違反報告)
鮭マヨ - この作品ほど更新が終わってほしく無いと思ったの初めてです…更新めっちゃ楽しみにしてます…！ (2021年9月11日 8時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芝 | 作成日時：2021年8月31日 2時
